長図線

長図線（ちょうとせん）

長図線は、中華人民共和国の国鉄路線であり、吉林省の長春市と図們市を結ぶ全長529kmの路線です。この路線は、瀋陽局に所属しており、中国から朝鮮半島北部へ向かう主要な路線の一つとして機能しています。

歴史

長図線の前身は、長春 - 吉林間を結ぶ「吉長鉄路」と、吉林 - 図們 - 会寧間を結ぶ「吉会鉄路」です。これらの路線は、満洲と朝鮮を結ぶ路線としての役割を担い、当時ロシアが経営していた東清鉄道に対抗する意味でも、日本にとって非常に重要な路線と認識されていました。

吉長鉄路は、当初ロシアが敷設権を持っていましたが、日露戦争後、1909年（明治42年）に南満洲鉄道（満鉄）が建設費の半分を貸し出す形で建設が決定し、1912年（大正元年）10月に開通しました。一方の吉会鉄路は、1909年（明治42年）の「間島協約」によって日本が敷設権を獲得しましたが、実際に着工する際には張作霖政権との交渉が難航し、途中の敦化までの建設に留まっていました。

1927年（昭和2年）10月には、山本条太郎満鉄総裁と張作霖の間で敦化 - 図們間の建設に合意しましたが、張作霖の死後、後を継いだ張学良と日本の関係が悪化したため、合意は具体化しませんでした。結局、満洲事変が勃発し、満洲が日本の支配下に入るまで着工されることはありませんでした。しかし、停滞を打開するため、日本人入植者が吉林省と独自に交渉し、日中合弁の私鉄「天図軽便鉄路」として、1924年（大正13年）11月に開山屯 - 朝陽川 - 老頭溝間と朝陽川 - 局子街（後の延吉）間が開業しました。

敦化 - 図們間の建設においては、天図軽便鉄路の老頭溝 - 朝陽川 - 延吉間が利用されることになり、満洲国成立後の1932年（昭和7年）5月に、敦化 - 老頭溝間の延伸、天図軽便鉄路の国有化（買収資金は満鉄が提供）、そして延吉 - 図們間の建設が閣議決定されました。翌1933年（昭和8年）9月には、満洲国有鉄道京図線（新京 - 図們間）として開業しました。

図們からは豆満江（図們江）を渡る鉄道橋を通じて、南陽で北鮮東部線に接続しており、新京 - 羅津間を結ぶ国際急行列車が運行されるなど、日本海を経由して日満間を短絡するルートとしての地位を確立しました。

なお、天図軽便鉄路の路線の一部で京図線に含まれなかった朝陽川 - 開山屯間は、朝開線と命名され満洲国鉄の路線となりました。開山屯と朝鮮側の上三峰は鉄道橋で結ばれ、朝鮮・満洲連絡ルートの一翼を担いました（朝鮮と満洲を連絡するルートとしては図們経由が主でした）。

第二次世界大戦後、満洲国が崩壊し、新京の呼称が長春に戻されるとともに、路線名も長図線に改称されました。満洲と朝鮮を結ぶ路線としての重要性は低下し、現在では国際旅客列車の運行は行われていません。

主要駅

長春
九台
吉林
蛟河
白石山
黄泥河
敦化
大石頭
安図
朝陽川
延吉
図們

接続路線

長春駅：京哈線、哈大線、長白線
吉林駅：瀋吉線
拉法駅：拉浜線
朝陽川駅：朝開線
* 図們駅：図佳線、図佳線、図琿線、南陽国境線

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