長坂健冶

長坂健冶（ながさか けんじ）氏は、1977年10月29日に神奈川県横浜市で生まれた元プロ野球選手です。右投右打の捕手として活躍しました。プロ入り後、2005年には登録名を本名の「健治」（さんずい）から「健冶」（にすい）に変更しています。現役引退後は、現在も東北楽天ゴールデンイーグルスのブルペン捕手として球団に貢献しています。

野球キャリアは横浜市立横浜商業高等学校から始まり、横浜商科大学へと進学。大学時代には2度のベストナインに輝くなど、捕手としての実力を発揮しました。大学卒業後は社会人野球の強豪、日本IBM野洲に入社。特にその強肩は高く評価され、「鉄砲肩」として知られるようになります。投手の中村泰広氏と組んだバッテリーは盤石で、滋賀県の社会人野球界で圧倒的な強さを誇りました。

プロのスカウト陣に強い印象を与えたのは、2001年秋に行われた大阪近鉄バファローズ二軍との交流試合でした。この試合で、当時ウエスタン・リーグで2年連続盗塁王だった俊足の森谷昭仁選手の盗塁を二度阻止。この驚異的な送球能力が近鉄の二軍ベンチやネット裏のスカウトの目に留まり、当初予定されていなかったドラフト候補リストに急遽加えられることになります。そして、同年のドラフト会議で8巡目指名を受け、大阪近鉄バファローズへの入団が決定しました。長坂氏は、日本IBM野洲野球部から初めて誕生したプロ野球選手となりました。なお、日本IBM野洲野球部は2003年のシーズン終了をもって休部しており、同部から最後にプロ入りした選手は前述の中村泰広氏です。

2002年にプロ入り後、近鉄では主に控え捕手としてプレー。背番号58を背負いました。2004年シーズン終了後、球界再編による近鉄とオリックスの球団合併、そしてそれに伴う分配ドラフトを経て、2005年からは新設された東北楽天ゴールデンイーグルスへ移籍しました。楽天移籍1年目の2005年は、チームの捕手陣が手薄だったこともあり、自己最多となる39試合に出場する機会を得ました。この年には、プロ野球記録となる大差での敗戦となった対千葉ロッテマリーンズ戦（26対0）で、チームが相手投手に完璧に抑え込まれる中、唯一の安打を放つという記録を残しています。また、本塁打が出にくいとされるナゴヤドームでプロ初本塁打を記録するなど、印象的なプレーも見せました。しかし、打撃面での波があり、また強肩ではあるものの送球の正確さに課題を残すなど、レギュラー定着には至らず、2006年は一軍での出場が減少しました。

2007年シーズン終了後の10月、球団から戦力外通告を受け、現役引退を決断しました。選手としてのキャリアは終えましたが、野球界から離れることなく、同年秋季キャンプからは東北楽天ゴールデンイーグルスのブルペン捕手としてチームを支える立場に転身しました。ブルペン捕手としては背番号108を着用し、現在に至るまで、投手陣の調整や強化に貢献しています。現役時代に培った経験と技術は、ブルペン捕手として投手の球を受ける上で大いに活かされていることでしょう。長坂氏は、選手としてプロの世界で戦い、引退後もチームを支える裏方として、楽天球団にとって欠かせない存在となっています。

プロ野球での主な初記録としては、2002年10月17日の対千葉ロッテ戦での初出場、翌日の同カードでの初先発出場、初打席・初安打（対加藤康介投手）、2004年8月12日の対千葉ロッテ戦での初打点（対神田義英投手）、2005年5月26日の対中日戦での初本塁打（対久本祐一投手、ナゴヤドーム）などがあります。現役時代の背番号は58、ブルペン捕手転身後は108です。

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