長崎市長銃撃事件

長崎市長銃撃事件

長崎市長銃撃事件は、1990年1月18日に発生した重要な事件です。この事件で、当時の長崎市長であった本島等が右翼団体の幹部によって銃撃され、重傷を負いました。事件の背景には、当時の政治的な緊張や言論に対する圧力がありました。

事件の背景

本島市長は、1988年12月の長崎市議会において、天皇に関する発言を行いました。その発言では「天皇にも戦争責任はある」と述べたものでしたが、報道ではその部分が強調され、批判を招く結果となりました。当時、昭和天皇の病状が悪化しており、社会全体に自粛ムードが漂っていたため、本島の発言は特に敏感なものでした。

自民党の支持基盤から発言の撤回を求められた本島は、良心に従い発言を撤回しないことを選択しました。この結果、保守系の団体から強い非難を受け、右翼団体が街宣車を使って抗議し、市役所を取り囲む事態に発展しました。ここで本島の周りには危険が迫り、13件の脅迫事件が発生したこともあります。市民からは支持を得る一方で、右翼団体からの攻撃に直面し続けました。

事件から1年後、当時の社会情勢に変化が見られ、右翼団体の抗議活動も落ち着いたように見えました。そのため、長崎県警察は本島に対する警護を解除した直後に、事件が発生してしまったのです。

事件の概要

1990年1月18日午後3時頃、本島市長が市役所の玄関前で公用車に乗り込もうとした際、右翼団体の正氣塾幹部である若島和美が接近し、至近距離から銃撃しました。弾丸は本島の左胸に命中しましたが、肋骨に当たったために弾道が変わり、大動脈や心臓を避けたため命に別状はありませんでした。この事件において、若島は銃撃後に倒れた本島に対して、「大丈夫か？」と声をかけるという冷静さも見せました。

若島は本島が長崎県議会議員時代に支持していた運動から転向したことに不満を抱いており、以前から会話を求めていたものの、本島がそれを拒絶していたため、銃撃に至ったとされます。

裁判とその後

本島を銃撃した若島は、殺人未遂罪で起訴されましたが、弁護側は「銃撃は1発のみであり、殺意はなかった」と主張しました。しかし、裁判所はその主張を退け、若島には懲役12年の判決が下されました。彼は2002年に出所しましたが、2003年に行われた長崎市長選挙に立候補するも落選しました。

右翼団体の正氣塾はこの事件に関与したと主張し続け、他のテロ事件も引き起こしています。また、2006年には暴力事件の正当化を図るような声明も出しています。

まとめ

長崎市長銃撃事件は、言論の自由や政治的圧力について多くの示唆を与える事例です。本島市長は、この事件を通じて日本社会の中での発言の重要性やリスクを体現した人物となりました。この事件は、いまだ多くの人々に語り継がれています。

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