長延寺

長延寺について

長延寺（ちょうえんじ）は、東京都杉並区和田一丁目に位置する曹洞宗の寺院です。山号を萬昌山（ばんしょうざん）と称します。かつては江戸市ヶ谷に所在しており、旧地には市谷長延寺町という地名が残っています。境内には「ぼたもち地蔵」が安置されており、「ぼたもち寺」という別名で親しまれています。

歴史

長延寺は、文禄3年（1596年）に江戸市谷に創建されました。実質的な開山者は笑岩長闇（しょうがんちょうあん）です。笑岩長闇は徳川家康が浜松にいた頃に帰依していた僧で、家康の江戸入りの際に伴われました。笑岩長闇は、師である喚英長応（かんえいちょうおう、上野国長年寺10世）を当寺の開山とし、自らは2世と位置づけました。

当初、開基は成瀬正成（なるせまさなり、犬山城主）とされていましたが、後に成瀬氏は檀家を離れました。寛文元年（1661年）には、今川直房（いまがわなおふさ、範英）が当寺に葬られたことを機に、今川直房を開基と改めました。以後、今川氏の菩提寺となり、歴代当主の葬地となりました。明治42年（1909年）に、現在の場所に移転しました。

施設・史跡

牡丹餅地蔵

長延寺の境内には、「牡丹餅地蔵」が安置されています。この地蔵は、次のような伝承から子授け・子育ての信仰を集めています。

寺が市ヶ谷にあった頃、門前の桶屋の夫婦が地蔵に願掛けをしたところ、子を授かりました。しかし、母子は産後の肥立ちが悪く、危険な状態にありました。父が再び願掛けをすると、地蔵は小僧に姿を変えて牡丹餅を与えました。この牡丹餅を食べた母は回復し、乳の出もよくなり、子も元気に育ったという。

墓地

長延寺の墓地には、以下のような著名人の墓があります。

土肥黙翁（どひもくおう）・土肥霞洲（どひかしゅう）父子：ともに儒学者
鈴木重胤（すずきしげたね）：国学者
杉浦梅潭（すぎうらばいたん）：幕臣、漢詩人
木村荘八（きむらしょうはち）：画家

アクセス

東京メトロ丸ノ内線東高円寺駅から徒歩でアクセスできます。

参考文献

大谷光男、嗣永芳照 著『杉並区史跡散歩 (東京史跡ガイド15)』学生社、1992年

関連項目

観泉寺：杉並区にある今川家ゆかりの寺院
* 萬昌院功運寺：中野区にある今川家ゆかりの寺院

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