長征6号

長征6号

概要

長征6号（英: Long March 6、略称: CZ-6またはLM-6）は、中華人民共和国が開発・運用する液体燃料ロケットです。その開発は、中国航天科技集団公司傘下の上海航天技術研究院と中国運載火箭技術研究院が共同で手掛けました。このロケットは、特に太陽同期軌道（SSO）へのペイロード投入に強みを発揮し、高度約700kmのSSOへ最大1,000kgのペイロードを運搬する能力を有しています。これは、近年活発化している小型から中型の地球観測衛星や科学衛星の打ち上げ需要に応えるために開発されたものです。長征6号の最初の打ち上げは2015年9月25日に行われ、成功裏に完了しました。

技術詳細

長征6号は、その推進システムに新世代のエンジンを採用しており、主推進剤としてケロシンと液体酸素を使用します。

第1段: メインエンジンには、大型ロケットである長征5号の開発を通じて実績を積んだ高推力エンジン、YF-100が搭載されています。このエンジンはケロシンと液体酸素を燃焼させることで、ロケット本体を初期加速させます。
第2段: 第2段には、同じくケロシンと液体酸素を推進剤とするYF-115エンジンが用いられています。このエンジンが軌道への投入に向けた最終的な速度調整や軌道制御を行います。

これらのエンジン構成により、長征6号は高い信頼性と効率性を実現しています。

長征6号A

長征6号の改良・派生型として、長征6号A（LM-6AまたはCZ-6A）が存在します。このモデルは、中国の運搬ロケットとして初めて、打ち上げ時の初期推力を増強するための固体ロケットブースター（SRB）を装備できる設計を取り入れたことが最大の特徴です。

長征6号Aでは、ペイロードの質量や目標とする軌道の要求に応じて、固体ロケットブースターを0本、2本、または4本装着することが可能です。この柔軟な構成能力により、オリジナルの長征6号よりもさらに重いペイロードを打ち上げたり、より多様な軌道に投入したりする能力が向上しています。長征6号Aの最初の実用飛行は2022年3月29日に行われ、成功しました。固体ブースターの導入は、中国のロケット技術の進化とミッション対応能力の拡大を示す重要なステップです。

位置づけと役割

長征6号およびその派生型である長征6号Aは、中国が開発・運用する長征ロケット系列の中でも、特に中小型衛星の打ち上げ市場において重要な役割を担っています。単一の比較的大型な衛星の打ち上げから、近年需要が高まっている多数の超小型衛星を同時に軌道に投入する「ライドシェア」ミッションまで、様々な種類の宇宙ミッションに対応できる柔軟性を持っています。これらのロケットは、中国の地球観測、科学研究、技術実証、さらには商業宇宙活動など、多様な宇宙プログラムを支える基盤の一つとして機能しています。環境負荷の低いケロシン/液体酸素推進剤を採用している点でも、今後の宇宙開発における技術トレンドに沿ったロケットと言えます。

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