長松院 (伊達吉村正室)

長松院：仙台藩を支えた公家出身の正室

長松院（ちょうしょういん）は、元禄2年（1689年）に生まれ、延享2年（1745年）に亡くなった、仙台藩第5代藩主・伊達吉村の正室であり、第6代藩主・伊達宗村の生母です。

生涯

長松院は、元禄2年（1689年）、前中納言・久我通名の娘として京に生を受けました。諱は貞子（さだこ）、通称は冬姫（ふゆひめ）といいました。

元禄15年（1702年）、冬姫に仙台藩世子・伊達吉村との縁談が舞い込みます。父の久我通名は既に出家していたため、叔父である久我通誠の養女として伊達家に嫁ぐこととなりました。幕府からの結婚許可が下りた後、京で結納の儀を済ませ、吉村の待つ江戸へ向かいました。江戸到着後、盛大に婚儀が執り行われました。

翌元禄16年（1703年）に吉村が第5代藩主に就任すると、冬姫は正室として仙台藩の奥を統括する立場となります。公家出身の正室は冬姫が初めてであり、彼女によって整えられた風儀が、その後の仙台藩奥方の手本となりました。この奥方における改革は、夫である吉村が主導した藩政改革と歩調を合わせるように進められたと考えられています。

吉村との間には、後の第6代藩主となる宗村をはじめ、1男5女をもうけました。延享2年（1745年）に57歳で亡くなり、大年寺に葬られました。法名は長松院殿法寿元栄大姉（ちょうしょういんでんほうじゅげんえいだいし）。

系譜

父：久我通名
母：松向殿（栄珠院）
養父：久我通誠（通名の弟）
夫：伊達吉村
子女：
英姫 - 長女、早世
和姫（村子） - 二女、岡山藩主・池田継政室
富姫（徳子） - 三女、宇和島藩主・伊達村年室
橘姫 - 四女、早世
敏姫 - 五女、早世
伊達宗村 - 四男、第6代藩主
兄弟姉妹：
広幡豊忠
堀川広益
女子 - 櫛笥隆兼室
厚姫 - 越後長岡藩主・牧野忠寿室
孝姫 - 宮床伊達村胤（吉村の甥）室


長松院は、公家出身という出自を生かし、仙台藩の奥方を統括する中で様々な改革を行い、その後の仙台藩に大きな影響を与えました。彼女の功績は、仙台藩の歴史において特筆すべきものと言えるでしょう。

参考文献

平成『仙台市史』（宮城県仙台市）
通史編4〔近世2〕（2003年）
通史編5〔近世3〕（2004年）

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