牧野忠寿

牧野忠寿（まきの ただかず）

越後長岡藩の第4代藩主であり、長岡藩系牧野家宗家5代当主。江戸幕府の奏者番も務めました。

生涯

元禄8年（1695年）、近江膳所藩主・本多康慶の六男として誕生。宝永7年（1710年）6月、越後長岡藩主・牧野忠辰の養嗣子となり、同年12月には従五位下、阿波守に叙任されました。享保6年（1721年）8月25日、忠辰の隠居により家督を継ぎ、11月に駿河守に転任。享保8年（1723年）9月には内桜田門番となり、同月、奏者番に就任しました。翌年には幕府領である越後国の魚沼郡や古志郡など五郡、6万4000石余りを預かることになります。これは、越後質地騒動鎮圧のため、幕府が越後国内の諸藩に越後国内の幕府領36万8000石を預けており、越後長岡藩もその一環として預かることになったものです。

治世と苦難

治世中は、火災や洪水といった天災に見舞われました。特に享保13年（1728年）の三蔵火事では長岡城が全焼し、延焼戸数は1,500戸を超える甚大な被害を出しました。このため、藩士の知行半分借り上げや藩士次三男の召抱え停止といった措置が取られ、一方で幕府から7,000両を借りて再建に着手することになります。しかし、長岡城の再建が完了したのは宝暦4年（1754年）であり、実に26年もの歳月を要しました。

晩年

三蔵火事の翌年、享保14年12月6日（1730年1月24日）に奏者番を辞任。享保20年（1735年）6月の参勤交代の登城時に体調を崩し、同年10月2日に41歳で死去しました。跡は次男の忠周が継ぎました。墓所は東京都港区三田の済海寺にありましたが、後に新潟県長岡市の悠久山に改葬されています。

人物像

1982年に長岡藩主家当主の済海寺からの改葬が行われ、これに伴って緊急遺骨調査が行われました。遺骨調査によると、推定身長は158.4cm（または156.2cm）とされています。また、脛骨、腓骨に骨梅毒の著名な病変が、鎖骨、上腕骨、大腿骨に骨梅毒と推定される骨膜や骨炎による骨肥厚所見が存在することが判明しました。

長岡藩主家では唯一、公家出身の正室を迎えています。これは、養父である忠辰と仙台藩主伊達吉村との親交が関係しているという説が、遺骨調査報告書で述べられています。忠寿自身も、享保2年（1717年）に仙台藩邸での演能で自ら能を演じたという記録が残っています。

系譜

実父：本多康慶
実母：清涼院 - 側室
養父：牧野忠辰
正室：厚君 - 久我通名の娘
側室：フヂ、智峰院 - 丸山伝兵衛の娘
子女：
陽源院殿梅譽香霊大童子（長男）
牧野忠周（次男） - 生母は智峰院
八千代姫 - 本多康桓正室
明仙院 - 牧野忠敬正室

参考文献

済海寺遺跡調査団（団長鈴木公雄）「港区三田済海寺 長岡藩主牧野家墓所発掘調査報告書」（1986年・東京都港区教育委員会）
「長岡市史」（1931年、新潟県長岡市）

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