長福寺 (三好市)

長福寺（ちょうふくじ）

長福寺は、徳島県三好市にある真言宗御室派の寺院であり、瑠璃山および医王院とも呼ばれています。この寺の本尊は薬師如来で、四国八十八箇所の第66番札所である雲辺寺の奥の院として知られています。また、新四国曼荼羅霊場第63番札所および、阿波秘境祖谷渓・大歩危七福神霊場めぐりの福禄寿も兼ねています。

本尊に捧げられる真言は「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」という言葉で、寺院への祈りの一部を成しています。更に、御詠歌には「雷難を よけてとどむる 浄瑠璃の やっこの光 とどむ大月」という文言があり、寺の意義と歴史が表されています。

概要

寺の歴史は奈良時代の天平年間に遡ります。この時期、僧侶の行基がこの地を訪れ、雷雨に見舞われて一軒の民家に雨宿りをさせてもらったとされています。この家の老婆は雷を恐れており、行基は彼女の姿を見て雷の災難を取り除いてほしいと願ったことでしょう。この願いを受けて、行基は薬師如来、脇士に不動明王、多聞天、日光月光菩薩および十二神将を彫刻し、安置したことが当寺の創建とされています。

さらに、行基は大月大明神（現在の四所神社）として聖観音菩薩を刻み、後に長福寺はこの大明神と特別な関係を持つことになりました。

寺院は他にも移転を繰り返したという説がありますが、戦国時代の天正年間（1573年 – 1593年）には白地城主の大西覚養によって大野名から現在の地へ移転され、新たに建立されました。江戸時代においては、大月寺として知られる時期もあり、文献『阿波志』などにおいては別名であることが記録されています。

大月のオハツキイチョウ

長福寺の門前には、樹齢約400年と推定される「オハツキイチョウ」があります。このイチョウは大西覚養が寺院を移転した際に植えられたとされるもので、雌株であり特徴的な実をつける特徴があります。葉柄の先と葉の付け根にそれぞれ1個の実が生るほか、まれに2個の実が付くことがあります。

また、このイチョウは「ラッパイチョウ」とも呼ばれ、形状がユニークです。1954年には徳島県の天然記念物に指定され、その名声が広まっています。長福寺の壮麗な景観と、貴重な樹木との共生は訪れる人々に深い印象を与えています。

前後の札所

• - 四国八十八箇所:

- 66 雲辺寺 (27.0 km)
- 66番奥の院 長福寺 (43.8 km)
- 67 大興寺

• - 新四国曼荼羅霊場:

- 62 持性院
- 63 長福寺
- 64 蓮華寺

• - 阿波秘境祖谷渓・大歩危七福神霊場めぐり:

- 弁才天 安楽寺
- 福禄寿 長福寺
- 寿老人 持性院

長福寺はその独特な歴史と文化の魅力を持つ寺院であり、多くの人々がこの地を訪れ、その静けさと神聖さに触れることができます。

もう一度検索