長良川発電所

長良川発電所の概要

長良川発電所（ながらがわはつでんしょ）は、岐阜県美濃市立花に存する中部電力による水力発電施設です。この発電所は長良川に沿った水路式の発電形式を採用しており、最大出力は4,800キロワットです。発電所は1910年に運転を開始し、歴史的にも重要な役割を果たしてきました。

設備の詳細

長良川発電所はダムを用いず、緩やかな勾配の水路を利用して水を落下させることで発電を行っています。最大使用水量は22.24立方メートル毎秒で、有効な落差は26.77メートルです。主要な設備としては、無圧トンネル、蓋渠、開渠、さらには水路橋が含まれ、全体の水路の長さは4.37キロメートルに達します。また、沈砂池も併設されています。

発電に使用される水圧鉄管は1本で、その長さは44.76メートルです。発電用の水車としては、出力5,100キロワットの日本工営製の立軸単輪単流渦巻フランシス水車（VF-1RS）が設置されており、5,300キロボルトアンペアの発電機も一台配置されています。この発電機は富士電機製で、周波数は60ヘルツに設定されています。

発電所が稼働し始めた当初は名古屋市への電力供給を目指していましたが、現在では美濃市や郡上市内に電力を供給しています。

建設の歴史

長良川発電所の建設は、旧岩村藩の士族小林重正によって初めて計画されました。彼は琵琶湖疏水を利用した蹴上発電所を見学した後、岐阜県内の水資源の調査を開始しました。この過程で岐阜県の有力な資産家から資金援助を得ることに成功し、最終的には立花地区が有望地として選定されました。

1896年11月、小林たちは水利権の取得を申請し、1897年にはその許可を得ました。しかし、当時の経済情勢により事業はうまく進まなかったため、最初の計画は失敗に終わりました。

その後、シーメンスの元社員であった野口遵が再度この計画を拾い上げ、名古屋の電力会社である名古屋電灯と協力して長良川発電所の建設を進めることになります。1907年には建設が決定され、1908年に工事が開始されました。発電機は牛車で長距離輸送され、1910年に運転を開始しました。

設備の近代化

長良川発電所の設備はその後何度かの改修を経て、1981年には全面的な改修が実施されました。この改修により、水車や発電機が現在の日本工営製や富士電機製に置き換えられ、発電能力も4,800キロワットに引き上げられました。また、歴史的な価値を持つ旧機器の一部は、館内で保存・展示されています。

文化的意義

2000年には登録有形文化財に認定され、その後も関連施設が文化財に登録されるなど、発電所は地域文化の一部としての役割を果たしています。2010年には運転100周年を祝うイベントが開催され、多くの関係者や地域の方々が参加しました。

長良川発電所は、工業化の進展とともに岐阜県の電力供給を支えてきた重要な施設であり、地域の発展に寄与してきました。

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