長谷川伸シリーズ

『長谷川伸シリーズ』は、1972年10月4日から1973年4月25日までNETテレビ（現・テレビ朝日）と東映によって制作・放送された、日本のオムニバス形式の時代劇テレビドラマです。大衆文学の父と称される作家・長谷川伸の作品群を原作としており、彼の代表作である『沓掛時次郎』、『中山七里』、『関の弥太っぺ』、『瞼の母』といった股旅物を中心にドラマ化されました。

作品概要

このドラマは、長谷川伸の描く人情味あふれる世界観を忠実に再現し、各エピソードごとに異なる主人公の物語が展開されます。時代劇でありながら、現代にも通じる普遍的なテーマを描き出し、多くの視聴者の心を掴みました。各話の監督には、山下耕作、稲垣浩、マキノ雅弘、工藤栄一といった、日本映画界を代表する名匠たちが名を連ね、重厚な映像美と演出でドラマを盛り上げました。

スタッフ

本作の制作には、多くの才能が集結しました。原作は長谷川伸自身が手掛け、監修は村上元三が担当。企画には、マキノ雅弘、俊藤浩滋、渡辺洋一、翁長孝雄、越前進、久保寺生郎、小川三喜雄といった、錚々たる面々が名を連ねています。プロデューサーは、上月信二、郡杉昭、秋田亨、小倉浩一郎、畑利明が担当し、音楽は木下忠司が手掛けました。主題歌は五木ひろしの「旅鴉」が使用され、ドラマの雰囲気を一層引き立てています。

特徴

本作の特徴として、エピソードによって制作会社が異なる点が挙げられます。東映本社と東映京都撮影所が中心となって制作されましたが、第6話・第7話の「一本刀土俵入（前後編）」は勝プロダクション、第15話・第16話の「関の彌太ッぺ（前後編）」と第26話の「直八子供旅」は中村プロダクションと三船プロダクションが制作を担当しました。また、萬屋錦之介が主演したエピソードでは、彼が中村錦之助から改名した直後であったため、オープニングのキャスト紹介で「（中村錦之助改メ）萬屋錦之介」と表記されました。さらに、劇中で使用された音楽は、後に木下忠司が音楽を担当した他の時代劇ドラマにも流用されました。初期のエピソードでは、『水戸黄門』の劇中音楽も使用されていました。

映像ソフト

ビデオが一般家庭に普及する前の1981年頃には、東映芸能ビデオから第3話「雪の渡り鳥」を収録したビデオが発売されていました。その後、2010年7月21日に全話収録のDVD-BOXが発売され、現在では容易に視聴することが可能です。

放送リスト

全26話構成で、各話ごとに異なる物語が展開されました。ナレーターは小沢栄太郎が務め、渋い声でドラマを盛り上げました。詳細な放送リストについては、別途資料を参照してください。

『長谷川伸シリーズ』は、長谷川伸の描く人間ドラマを堪能できる作品であり、時代劇ファンのみならず、多くの人々に愛されています。

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