長谷川濬

長谷川濬（はせがわ しゅん）は、1906年7月4日に北海道函館市で生まれ、1973年12月16日にその生涯を閉じました。彼は詩人、作家、そしてロシア文学者として、多岐にわたる才能を発揮しました。

生い立ちと初期の活動

長谷川濬は、父・清（後に淑夫と改名）と母・ユキの三男として誕生しました。1925年に函館中学を卒業後、兄である海太郎の勧めを受け、4年間漁船に乗るという異色の経歴を持ちます。その後、大阪外国語学校露語科を卒業し、満州へと渡りました。

満州では、官吏としての職務を経験した後、1932年に満洲映画協会に入社しました。この時期には、ニコライ・バイコフの「偉大なる王」を翻訳するなど、ロシア文学への造詣を深めています。満洲映画協会では、理事長であった甘粕正彦の自殺という衝撃的な場面を目撃することになります。

戦後の活動と晩年

終戦後、長谷川濬は通訳などの仕事をしながら、同人誌に創作、詩、エッセイなどを積極的に投稿しました。晩年には、神彰らとともにドン・コサック合唱団を招聘するなど、文化交流にも貢献しました。彼の墓所は、東京都八王子市中央霊苑にあります。

家族

長谷川濬の家族構成もまた、特筆すべき点です。長兄は作家の長谷川海太郎（筆名：牧逸馬、林不忘、谷譲次）であり、次兄は画家の長谷川潾二郎、そして末弟は作家の長谷川四郎です。兄弟それぞれが異なる分野で才能を開花させ、文学、芸術の世界に大きな足跡を残しています。

関連書籍

長谷川濬に関する書籍として、以下のようなものが存在します。

川崎賢子『彼等の昭和　長谷川海太郎・潾二郎・濬・四郎』（白水社、1994年）
大島幹雄『満州浪漫 長谷川濬が見た夢』（藤原書店、2012年）

これらの書籍は、長谷川濬の生涯や作品、家族関係を深く理解するための貴重な資料となります。

参考資料

* 朝日新聞朝刊『読書　満州浪漫　長谷川濬が見た夢』2012年11月11日(15面)

長谷川濬の生涯は、時代と社会の変遷の中で、多岐にわたる経験を積んだ、複雑で興味深いものであったと言えるでしょう。彼の作品は、文学、文化における重要な資料であり、今後も読み継がれていくべき価値を持っています。満州での経験や、文学者としての活動、そして家族との関わりなど、さまざまな角度から彼の人物像を捉えることで、より深く長谷川濬の世界を理解することができるでしょう。

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