長野電鉄3000系電車

長野電鉄3000系電車

長野電鉄3000系電車は、長野電鉄が運行する通勤形電車で、東京メトロ日比谷線で活躍していた03系を改造した車両です。老朽化した3500系・3600系の置き換えを目的として、2020年から導入が開始されました。

導入の背景

長野電鉄では、1993年から3500系・3600系が運用されていましたが、製造から50年以上が経過し、老朽化が深刻化していました。2005年には8500系を導入して状態の悪い車両を置き換えたものの、8500系は急勾配区間である信州中野駅 - 湯田中駅間への入線ができませんでした。そこで、東京メトロ03系の運用終了時期と3500系・3600系の更新時期が合致したことから、03系を譲り受け、3両編成に改造して導入することになりました。これは、かつて日比谷線で運用されていた3000系が長野電鉄に譲渡された経緯があり、26年ぶりに日比谷線での世代交代が長野電鉄で再現された形となりました。2022年度までに5編成が導入され、3500系・3600系は順次置き換えられました。

車両の構造

車体

外観では、行先表示器が幕式からフルカラーLEDに変更されたほか、列車番号と車番が表記されていた窓が埋められ、スカートが新たに設置されています。導入当初は東京メトロ時代の黒、クリーム、グレーの帯でしたが、運行開始前に先頭部のみ赤色に変更されました。また、側面には長野電鉄の社章と号車番号のステッカーが貼付されています。

車内

車内は基本的に東京メトロ時代の内装が維持されていますが、室内灯がLED照明に変更されています。また、乗降扉には寒冷地対策としてレールヒーターが装備され、片側3箇所のドアのうち1箇所に半自動ドアボタンが追加されました。半自動運用時には、ドアボタンのないドアは締め切り扱いとなります。ドアチャイムや旅客情報案内装置は東京メトロ時代のものがそのまま使用されています。

走行機器

走行機器は03系時代のものが基本的にそのまま使用されています。ただし、長野電鉄の路線規格に合わせて最高速度が110km/hから90km/hに引き下げられました。制御装置は、元々高周波分巻チョッパ制御でしたが、2012年から2013年にかけてIGBT素子VVVFインバータ制御に更新されており、これがそのまま使用されています。長野電鉄でVVVFインバータ制御の車両が導入されるのは初めてです。また、3両編成とするために、03-300形と03-700形の補助電源装置を移設し、空気圧縮機 (CP) は新製し、CT1車に搭載しています。

運転機器は03系時代のものが踏襲されていますが、車両制御情報管理装置 (TIS) を撤去したほか、抑速ブレーキを追加し、ワンマン運転に対応させるための改造が行われています。

形式

3000系は、以下の3形式で構成されています。

クハ3050形: 湯田中寄りの制御車で、種車は03-100形。空気圧縮機と補助電源装置を搭載しています。
モハ3000形: 中間電動車で、種車は03-200形。主制御器とパンタグラフを搭載しています。
デハ3010形: 長野寄りの制御電動車で、種車は03-800形。

編成表

各編成は以下の通り構成されています。

クハ3050形(03-100形) - モハ3000形(03-200形) - デハ3010形(03-800形)

沿革

2020年1月31日: 長野電鉄が3000系の導入を発表。
2020年4月14日: 新型コロナウイルスの影響で運行開始が延期。
2020年5月30日: 長野電鉄創立100周年記念として、M1編成が須坂駅 - 長野駅間で臨時運行。
2020年6月22日: M1編成・M5編成が営業運転を開始。
2021年3月27日: M2編成が営業運転を開始。
2022年3月24日: M3編成・M4編成が営業運転を開始。当初予定の5編成の導入が完了。

今後の展望

長野電鉄は、2028年度までに省エネルギー車両の割合を73%に引き上げることを目標としており、3000系の追加導入や別形式の導入も検討されています。長野電鉄は、全長18m級、車体幅2800mm、2 - 3両編成への短編成化改造が容易な車両を希望しているとされています。

関連事項

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