開心術

開心術についての詳細

概要

開心術とは、心臓の外科手術の一つで、患者の心臓を切開し、内部で手術を行う手法です。通常、人工心肺を使用し全身麻酔と心停止下で実施されます。この手法は心内の疾患や病変を修復するために、心臓の壁を切開して内部にアクセスすることが必要となりますが、単に切開するだけでは出血や血流の停止が問題となります。そのため、開心術では全身の血液供給と酸素供給を補うために人工心肺が用いられ、心筋の損傷を最小化する心筋保護液が使用されるのが一般的です。

歴史

開心術の歴史は比較的新しく、1950年代にトロント大学の心臓外科医ウィルフレッド・G・ビゲローが全身低体温法を発表したのが重要な節目です。この技法により、循環を遮断する時間を延ばし、心臓手術の幅が大きく広がりました。1952年には心房中隔欠損症の手術が成功し、これは開心術の先駆けとなりました。その後、人工心肺や心筋保護法の進化により、心臓外科は急速に進展してきました。

代表的な手術

開心術は多様な手術に用いられますが、以下はその代表例です。

1. 弁膜症手術

心臓弁の機能不全に対して、弁形成術や弁置換術を行います。体外循環の使用が必須です。

2. 冠動脈バイパス術

虚血性心疾患の治療として、狭窄部位をバイパスする手術です。心肺バイパスを使用する伝統的手法と、心拍動下で行う新技術が存在します。

3. 胸部大動脈手術

大動脈弁や瘤、解離に対して置換術が行われます。これも通常、心肺バイパスを伴います。

4. 先天性心疾患手術

小児の先天性心疾患治療において、開心術を用いることが一般的です。

5. 心移植・補助人工心臓手術

重度の心不全患者への心移植や補助心臓の植込みも開心術として行われます。

6. 心腫瘍切除術

心臓の腫瘍（例：心房粘液腫）の摘出手術がこれに該当します。

手術の流れ

開心術は以下のような工程を経て行われます。
1. 準備: 患者の入室から麻酔導入、モニター装着などを行います。
2. 胸骨切開: 胸骨を真ん中から切開し、心膜を開いて心臓を露出させます。
3. 人工心肺の接続: 大動脈や大静脈にカニューレを挿入し、体外循環を設定します。
4. 心静止: 心筋保護液を注入し、心臓を静止させる操作を行います。
5. 手術操作: 心内の修復や操作を実施します。
6. 体外循環からの離脱: 心拍動再開後、人工心肺から離脱し、止血を行います。
7. 閉創: 胸骨を閉じ、創部の処理を行います。

手術の合併症

開心術後の合併症には、術後心不全、出血、脳神経障害、不整脈などがあり、心筋保護や術中管理が重要です。これらのリスクを管理するための知識と技術が医療チームには求められます。

結論

開心術は心臓疾患治療において非常に重要な手法です。手術の方法や歴史を知ることで、その神秘的で重要な技術の理解が深まります。

もう一度検索