閔中王

閔中王（びんちゅうおう）

閔中王は高句麗の第4代の王であり、彼の治世は44年から48年までの間にわたりました。生年は不詳ですが、閔中王の本名は邑または解色朱とされています。彼は先代の王である大武神王の弟とされており、『三国史記』の記述からその地位がわかります。しかし、『三国遺事』においては彼は大武神王の子として記録されています。

王としての彼の最初の大きな出来事は、息子の解愛婁（後の慕本王）が幼少だったため、出発点として国人の推挙を受けて即位したことです。44年10月、先代の王が亡くなった後のことでした。即位から1ヶ月後の11月には大赦を行い、民に寛容さを示しました。これにより、彼の治世は比較的穏やかなスタートを切ったと言えるでしょう。

閔中王はその後も、民の生活を支えるための施策を講じました。特に45年8月には、国内の東部で洪水が発生し、多くの人々が飢える事態となりました。この時、彼は穀倉を公開し、困っている民に対して食糧を分け与えました。このように、彼は民の福祉に対して非常に配慮した治世を行ったと言えます。

さらに彼の興味深いエピソードとして、47年4月と7月に閔中原で田猟を行った際に、石窟を訪れました。そこに彼は自らの死後にこの石窟に埋葬されるように近臣に指示しました。このことから、彼はあらかじめ自身の最期を見据えた行動を取っていたことが伺えます。

閔中王は48年に亡くなりましたが、彼の遺言通りに閔中原の石窟に埋葬されました。王の死後、その業績や生き方から「閔中王」との諡号が贈られました。彼の治世は短命ではあったものの、民に対する善政が評価されています。

また、中国との関係においても重要な出来事がありました。同じく彼の治世中の47年10月には、蚕支部落の大加戴升ら一万余家が楽浪に渡り、後漢に投降するという事件が発生しました。これは高句麗と中国の関係において一つの転換点をもたらす出来事となりました。

このように、閔中王の治世は、民を思いやる政策や重要な外交問題が絡み合った時代でした。彼がどのように国を治め、民とのつながりを意識していたかは、記録を通じて今なお多くの人々に語り継がれています。

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