慕本王

慕本王（ぼほんおう）について

慕本王は、高句麗の第5代の王として知られており、在位期間は48年から53年まででした。彼は30年に生まれ、53年に亡くなっています。彼の姓は「高」で、諱は「憂」または「解愛婁」とされています。『三国史記』では、彼は先々代の大武神王の嫡子として記載されており、一方で『三国遺事』では先代の閔中王の弟とみなされています。

王位への道

慕本王は、32年12月の段階で太子に任命されましたが、44年10月に大武神王が死亡した際、彼はまだ幼少であったため、王の弟である閔中王が王位を継承しました。すなわち、慕本王が実際に王位に就いたのは48年のことで、閔中王の死によるものでした。

治世の特徴

慕本王の治世は複雑であり、彼自身は軍事的な行動を行う一方で、国内の民を苦しめることもありました。49年2月には、将軍を派遣し、後漢の右北平や漁陽、上谷、太原を攻撃させましたが、遼東太守である祭肜の信義によって、両国間の関係は再び和解に向かいました。この時代の記録によると、祭肜は匈奴への対策として鮮卑との友好関係を築く努力をしており、高句麗もその動きを受けて、敵対していた後漢への朝貢を行ったと言います。

一方で、慕本王の統治には暗い側面が存在しました。49年8月には国内の飢饉に対して施しを行ったものの、次第に彼の暴虐さが目立ち、臣下に対する弾圧を強めました。反逆的な言動を見せた者には容赦なく処罰し、時には弓で射殺することもありました。このため、周囲の人々は彼に対する恐怖を抱くようになり、特に彼の側近である杜魯は、王の暴政に脅かされ、53年11月に慕本王を暗殺しました。

最期とその後

慕本王は、暗殺された後、慕本原に葬られ、名を「慕本王」と諡されました。彼の治世は短期間ながらも、高句麗という国に大きな影響を与えたと言えるでしょう。また、彼の家族構成についても触れておくべきです。彼の父は大武神王、母は元妃であり、異母弟に好童がいます。

このように慕本王の治世は、彼の個性が色濃く反映された時代であり、後世に多くの議論を呼ぶこととなるでしょう。

関連する歴史的人物

当時の他の王たちにも注目が集まります。例えば、百済の多婁王（在位：28年 - 77年）や、新羅の儒理尼師今（在位：24年 - 57年）などが挙げられます。これらの王たちとの関わりの中で、高句麗はどのように変遷していったのか、その全貌を知ることは、古代朝鮮の歴史を理解する手助けとなるでしょう。

参考文献

• - 『三国史記』第2巻 金富軾撰 井上秀雄訳注、平凡社（1983年）
• - 鮎貝房之進『朝鮮姓氏・族制考』国書刊行会（1987年）
• - 井上秀雄『古代朝鮮』 講談社（2004年）

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