阪急1000形電車 (初代)

阪急1000形電車について

阪急1000形電車は、1954年に京阪神急行電鉄（現在の阪急電鉄）によって導入された、同社初の高性能電車です。この電車は、通称「1000形」として知られており、時には「1000系」とも呼ばれることがあります。

登場の背景

1950年代における都市間輸送の需要の高まりを受け、高性能の電車が求められました。他社でも高性能車両が続々と登場する中、阪急でも前述の610系や700系でカルダン駆動方式のテストを行いました。そして1954年11月、1000形の4両が製造されました。これにより、阪急は戦後に新たに100両の車両を導入したことになります。

車両の構成

1000形は4両編成で構成され、奇数車と偶数車がペアを組む形になっています。偶数車には電動発電機とパンタグラフが搭載され、奇数車には空気圧縮機が装備されています。この編成によって、電気機器の効率が向上しました。車体は張殻構造を採用して軽量化されており、内部は広々としたロングシートが設けられています。

車体デザイン

外観は810系に似たデザインでありながら、丸みを帯びた形状が特徴です。窓のデザインも810系をベースにしていますが、阪急伝統の1段下降窓が採用されている点がアクセントです。屋根には在来車と同様の押込式通風器が設置され、パンタグラフは連結面側に配置されています。塗装に関しては、当初白い窓枠の採用が検討されましたが、社長の意向により変更されました。

機械設備

主電動機は東芝の75kWのタイプが4基搭載され、主制御器は多段電動カム軸式のものが使用されています。駆動方式にはWNドライブが採用され、その際、620・630系の試験結果が反映されています。台車には住友金属工業が製造したFS-303型が用いられ、一部の車両ではアルストムリンク式の新しい台車が採用されました。ブレーキに関しては、自動空気ブレーキが使用されています。

改造と運用

1968年には、神戸線の1500V電圧昇圧に伴う改造が実施され、主抵抗器が自然通風方式に変更されました。その後、1000形は1971年に改造され、1010系に編入されることとなります。運行開始当初から神戸線での使用が主でしたが、昇圧改造後は今津線に移動しました。1984年に運用を終了し、1000形は引退を迎えました。

コラボレーション企画

2019年からは、人気絵本シリーズ「くまのがっこう」とのコラボレーション企画が開始され、1000系が描かれた特別な商品が展開されました。これは引退してしばらく経った車両がコラボに起用された初めての試みとなりました。

まとめ

阪急1000形電車は、その性能、デザインともに阪急電鉄の歴史に名を刻む重要な車両です。長い歴史を経て消えゆく中で、その存在感は現在もなお多くの人々に記憶されています。

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