阪神7001・7101形電車

阪神7001・7101形電車は、阪神電気鉄道が1970年に導入した優等列車用車両です。当時としては画期的な技術を多数搭載し、その後の阪神電車の車両設計に大きな影響を与えました。

概要

7001・7101形は、日本初の営業用電機子チョッパ制御車として登場しました。抵抗制御が主流だった当時、電機子チョッパ制御は電力効率が高く、メンテナンスも容易なため、大きな注目を集めました。また、阪神の車両として初めて冷房装置を搭載し、「六甲の涼しさを車内に」というキャッチフレーズで快適な車内空間を提供しました。

製造当初は、7101 - 7001 - 7002から7111 - 7011 - 7012までの3両編成6本（計18両）が製造され、神戸方には抵抗制御の7801・7901形3次車（7840 - 7850、7940 - 7950）の2両編成6本（計12両）を連結し、5両編成で運行を開始しました。その後、6両編成運転の開始に伴い、1972年には4両固定編成3本（計12両）（7013 - 7018、7113 - 7118）が増備されたほか、3両編成を4両編成化するための先頭車も6両製造されました。

導入の経緯

高度経済成長期を迎え、社会全体で冷房が普及する中、鉄道車両においても冷房化が求められるようになりました。阪神では、普通用車両への無接点制御装置の導入に続き、急行用車両に電機子チョッパ制御を導入することで保守の軽減を図るとともに、冷房付きの新車を登場させることとなりました。これが7001・7101形です。

電機子チョッパ制御は、抵抗制御に比べて電力効率が高く、回生ブレーキの使用も可能になるというメリットがありました。しかし、当時の技術では回生ブレーキの効果が十分でなかったため、7001・7101形では力行専用のチョッパ制御装置が採用されました。

車体

車体は、先に製造された7801形新製冷房車とほぼ同一の形状で、裾部に丸みがあり、前面は貫通幌を装着した3面折妻の3枚窓でした。7801形2次車（ラインデリア車）に準じた両開き扉を採用していましたが、冷房装置搭載のため屋根が高く、幕板も広くなりました。そのため後年追加された側面行先表示器は完全に外板内に収まっています。

側窓は、当初製造された3両編成グループでは組立式の窓でしたが、7113F以降の4両編成グループではユニットサッシを採用しました。3両編成に増結された神戸向きの先頭車では、窓を編成内で揃えるために従来の組立式に戻されました。

内装は当時の阪神の他形式と同一で、座席はロングシート、化粧板は緑色の格子柄でした。また、3両編成のM'車（中間電動車）には、登場当初神戸寄りに簡易運転台が装備されていました。

7001・7101形で採用された車体構造は、改良を加えられつつ3801形以降、8000系タイプIまでの急行・普通系車両に継承されました。

主要機器

台車は、7801形以来の住友金属工業製のペデスタル式コイルばね台車であるFS-341およびFS-341Tを装着しました。台車枠は、メーカーの都合から従来の鋳鋼製から溶接組立の鋼板プレス製に変更されました。

パンタグラフは、阪神初採用の下枠交差式パンタグラフをM1車に2基搭載しました。従来の菱形パンタグラフよりも屋根上の専有面積が小さく、冷房車に好都合とされました。

冷房装置は、三菱電機製の分散式MAU-13Hを搭載しました。先頭車およびパンタグラフのないM2車には7基、パンタグラフのあるM1車には6基搭載しました。この冷房装置は、日本国有鉄道（国鉄）制式のAU-13に類似したものでした。

制御装置は、電機子チョッパ制御の三菱電機製CFM-118-15Hを採用し、8個の主電動機を永久4個直列の並列2回路で制御するMM'ユニット方式でした。当時のチョッパ装置では回生ブレーキの効果が十分でなかったため、保守省力化とコストダウンを主眼として力行専用の制御装置が採用されました。

主電動機は、定格出力110kWの直巻電動機で、東洋電機製造製のTDK−814-A, A1, TDK-814/2-A2を4基搭載しました。

ブレーキは、HSC電磁直通ブレーキを採用し、回生ブレーキや発電ブレーキは装備していません。阪神の急行系車両はブレーキの頻度が低いことから、7801形と同じく電気ブレーキを省略しました。

補助電源は、出力70kVAのCLG-346形電動発電機（MG）を、空気圧縮機（CP）はDH-25-Dを搭載しました。

運用

7001・7101形は、主に本線（梅田～元町間）の特急・急行運用に投入されました。冷房付きの快適な車内は、乗客から好評を博し、阪神電車のイメージアップに大きく貢献しました。

1990年から1993年にかけて、7001・7101形は全車が更新工事を受け、2000系に改造されました。この改造により、制御装置が界磁添加励磁制御に換装され、回生ブレーキが使用可能になりました。また、編成は3両ユニット2本の6両固定編成となりました。

2000系への改造とその後

2000系への改造後も、7001・7101形の流れを汲む車両として活躍を続けましたが、2011年までに全車が廃車となりました。

7001・7101形は、短い期間ではありましたが、阪神電車の歴史に名を刻んだ名車として、今も多くの鉄道ファンに愛されています。

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