防備衛所

防備衛所について

防備衛所（ぼうびえいしょ）とは、大日本帝国海軍によって重要な港湾や海峡などへの敵潜水艦の侵入を防ぐために設立された陸上の防衛拠点です。これらの施設は、一般には「水中聴音所」または「水中聴測所」とも呼ばれています。防備衛所は、海底に設置された水中聴音機（パッシブ・ソナー）などのセンサーを使用して敵潜水艦を探知し、その情報を味方の対潜部隊に伝達したり、必要に応じて事前に敷設された管制機雷を起爆して敵を攻撃する役割を担っていました。

沿革

防備衛所の設置は、太平洋戦争の前から始まっており、日本本土の防衛を目的に、各地の鎮守府や警備府の防備隊隷下に設けられました。日米の開戦が近づく1940年（昭和15年）頃からは、その設置が加速されました。戦争が始まると、日本本土以外でも艦隊の泊地が設けられるようになり、それらを防御するための防備衛所が必要とされました。1943年（昭和18年）には、原則として3つの防備衛所を持つ防備衛所隊が編成され、西はビルマ、東はラバウル方面に至るまで各地に派遣されました。しかし、防備衛所隊は1944年（昭和19年）9月までに全て解隊され、その後は所在する海軍根拠地隊や警備隊に統合されました。

編制と装備

標準的な防備衛所の編制は、甲、乙、丙の3種類があります。

• - 甲編制: 水中聴音機2基と機雷1基を装備し、定員は26人。
• - 乙編制: 水中聴音機2基のみで、機雷を持たず、定員24人。
• - 丙編制: 水中磁気探知機4組を持ち、定員は17人。

編制にはさまざまな機材が配備され、主に九七式水中聴音機が使用されました。また、戦争中には二式磁気探知機も新たに導入されました。これらの機材を運用するために、専用の艦艇や雑役船の改造が行われました。

実戦

実際の戦闘において、防備衛所はその能力を証明しました。例えば、津軽海峡東口においては、アメリカ潜水艦「アルバコア」の沈没の際に、桑畑防備衛所が爆発音を捉えるなどの活躍がありました。

日本陸軍も、太平洋戦争中に潜水艦対策の重要性を認識し、沿岸要塞の一部としてパッシブ・ソナーを配備しようとしました。陸軍の水中聴測要員は1942年後半から養成され、大人数が教育を受けましたが、実戦配備は遅れました。最終的には、東京湾要塞管下の観音崎に試験機、壱岐要塞に実戦機が配備される程度に終わりました。

まとめ

防備衛所は、大日本帝国海軍による防潜水艦戦闘の重要な要素であり、その役割は戦争の局面で重要な意味を持っていました。防備衛所の設置や運営を通じて、陸軍と海軍の合同防衛策が模索され、戦争の結果を左右する要因の一つとなりました。

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