阿倍帯麻呂

阿倍帯麻呂の生涯

阿倍帯麻呂（あべの おびまろ）は、奈良時代前期に活躍した貴族であり、その名は意比麻呂とも記録されています。彼は中務大輔の阿倍船守の子として生まれ、長兄には仲麻呂がいます。官位は従五位上、美作守を務めていました。彼の経歴は多くの波乱に満ちており、自己の運命を決定づける出来事に関与していました。

経歴と昇進の道

阿倍帯麻呂は、神亀5年（728年）には正七位上の位階から外従五位下に昇進しました。この出来事は、中央の貴族に対して初めて外位の叙位が行われた例として歴史に名を刻みます。また、この時には巨勢少麻呂や中臣名代といった他の中央貴族も同じく外従五位下に叙せられました。この昇進に際して、業務の状況によって内位に叙されるべきである養成の求めがされており、努力が求められていたことも注目に値します。

翌神亀6年（729年）には、長屋王の変の後に行われた叙位において、再び内位の従五位下に昇進しました。その後、美作守に任じられるものの、彼の任期中に何者かと共謀し、4名を故殺するという重大な事件を引き起こしました。これにより被害者の一族から太政官に訴えが起こされました。

この裁判を担当した右大弁の大伴道足や右中弁の高橋安麻呂らは、審理を行わず放置したため、彼らは天平7年（735年）に処罰されました。しかし、聖武天皇の詔により、彼らは赦免されたのです。帯麻呂に対する処罰内容は不明ですが、後の消息がなく、律に従い死刑になった可能性も指摘されています。この背景から、外位任官者の間で叙位に対する不満が噴出し、長屋王の変に関与したのではないかと考えられています。

最期と系譜

一説では、神護景雲2年（768年）6月27日に76歳で亡くなったとされています。彼の家族についても触れておくと、父は阿倍船守であり、母は不明です。子女の中には男子の安倍弟当や女子の藤原真楯室が存在し、藤原真楯室は内麻呂の母として知られています。

官歴

阿倍帯麻呂の官歴を以下に示します。

• - 時期不詳：正七位上
• - 神亀5年（728年）5月21日：外従五位下
• - 神亀6年（729年）3月4日：従五位下
• - 天平7年（735年）9月28日：見美作守
• - 時期不詳：従五位上

このように、彼の人生は立身出世と同時に、数々の困難や事件によって大きく揺れ動くものでした。阿倍帯麻呂の存在は、奈良時代の貴族社会とその動向を理解する上で重要な鍵となります。

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