阿利莫二

阿利莫二（あり ばくじ）は、1922年9月1日に東京で生まれ、1995年4月28日に72歳で亡くなった日本の政治学者です。彼は、法政大学の総長や日本行政学会の理事長を歴任し、行政学の分野で多大な貢献をしました。

学歴と職歴

1948年、阿利は東京大学法学部政治学科を卒業し、行政学者の辻清明教授のもとで特別研究生として研究を始めました。1952年には法政大学法学部の助教授に就任し、その後1961年に同大学の教授に昇進しました。

阿利は、教育者としての活動に加え、1975年には日本行政学会の理事長に就任し、1976年には法政大学法学部の学部長、1981年には法政大学大学院長を務めるなど、大学運営にも深く関わりました。また、1981年から1985年まで、日本学術会議の会員も務めています。1988年12月には法政大学の総長に就任し、1995年3月までその職を務めました。

研究分野と業績

阿利の研究は、官僚制、地方自治制度、都市政策を主な対象としていました。東京大学では辻清明教授の指導を受け、行政学の基礎を築きました。彼の研究は、現代の行政が直面する課題に対し、理論的かつ実践的な視点からの考察を提供しました。

戦争体験と平和への貢献

阿利自身は、1943年に学徒出陣で出兵した経験を持っており、その体験は彼の思想形成に大きな影響を与えました。著書『ルソン戦-死の谷』では、その過酷な体験を綴っています。1990年、法政大学の学位授与式において、学徒出陣で戦没した学生10人の遺族に対し、総長として卒業証書を手渡しました。これは、学徒出陣という悲劇を風化させないための彼の強い意志の表れでした。

さらに、学徒出陣から50年となる1993年には、全国270校の私立大学の学長・総長に呼びかけ、共同声明を発表しました。この声明では、かつて大学が学生を戦場に送り出したことに対する深い反省の意が表明され、阿利の平和への強い願いが示されました。

著作

阿利は数多くの著書や共編著、訳書を出版しており、以下にその一部を挙げます。

『子どものシビル・ミニマム - 視点と生活実態』（弘文堂、1979）
『出先機関の理論と課題 - 中央の出先機関について』（地方自治総合研究所、1982）
『都市政策 - その課題とフロンティア』（総合労働研究所、1982）
『ルソン戦 - 死の谷』（岩波書店、1987）
『現代行政と官僚制』（東京大学出版会、1974）（共編著）
『行政学講座』（東京大学出版会、1976）（共編著）
『事例・地方自治』（ほるぷ出版、1983）（共編著）
『行政の転換期・長期的視点に立って描く新しい行政像』（有斐閣、1983）（共編著）
* P.M.ブラウ『現代社会の官僚制』（岩波書店、1958）（訳書）

これらの著作は、阿利の行政学研究の集大成であり、現代社会における行政の役割や課題について考察するための重要な資料となっています。

阿利莫二は、行政学者としてだけでなく、教育者、大学運営者、そして平和を希求する活動家として、多くの人々に影響を与えました。彼の功績は、今後も長く語り継がれるでしょう。

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