阿南徹

阿南徹（あなんとおる）は、1984年 7月28日に大分県で生まれた日本の元プロ野球選手（投手）。右投げ左打ち。プロではオリックス・バファローズ、そして読売ジャイアンツでプレーした。

経歴

幼少期から野球に親しみ、小学3年で本格的に野球を始めた。地元大分県の柏原高校へ進んだが、高校時代は怪我の影響もあり、公式戦での勝利を手にすることはできなかった。卒業後、首都大学野球連盟に加盟する城西大学に進学。大学での成長は著しく、4年時の春季リーグ戦では最優秀選手賞を獲得するなど、エースとして活躍を見せた。

大学卒業後の2007年には、社会人野球の強豪として知られる日本通運に入社。社会人野球界でも実力を発揮し、2009年には、後にプロでも同僚となる比嘉幹貴らと共に、第38回IBAFワールドカップの日本代表に選出され、国際大会も経験した。

社会人での活躍が認められ、2009年のプロ野球ドラフト会議にて、オリックス・バファローズから5巡目で指名を受けた。契約金4000万円、年俸1000万円（金額はいずれも推定）という条件で入団に合意し、背番号は43に決まった。

プロ入り後

オリックス・バファローズ時代

プロ入り1年目の2010年、阿南投手は新人選手としてただ一人開幕一軍の切符を手にした。しかし、プロの舞台では制球に苦しむ場面が目立ち、失点を重ねることが多く、一軍と二軍を行き来するシーズンとなった。特に同年6月20日に行われた北海道日本ハムファイターズ戦（京セラドーム大阪）では、8回表に小谷野栄一選手、金子誠選手に立て続けに満塁本塁打を浴び、1イニングで8自責点を記録するという、NPB史上3人目、中継ぎ投手としては初の記録を残してしまった。この登板以降、一軍のマウンドに上がることはなかった。シーズン終了後の12月には、タレントの野口綾子さんとの結婚が発表されたが、後に離婚している。

2011年シーズン、日本通運時代のチームメイトだった比嘉幹貴投手がオリックスに入団した。阿南投手自身は、一軍で5試合に登板したが、勝利や敗戦は付かず、防御率は4.00という成績だった。

2012年はさらに厳しい一年となった。ウエスタン・リーグ公式戦では26試合に登板したが、0勝2敗、防御率4.78と低迷。プロ入り後初めて、一軍での登板機会を一度も得ることができなかった。

読売ジャイアンツ時代

2012年シーズン終了後、阿南投手に転機が訪れる。同年11月5日、東野峻投手、山本和作選手との交換トレードによって、香月良太投手と共に読売ジャイアンツへの移籍が発表された。新天地ジャイアンツでの背番号は99となった。

巨人移籍1年目の2013年、阿南投手はイースタン・リーグで主に先発として起用された。21試合に登板し、8勝5敗、防御率2.93を記録するなど、二軍で安定した投球を見せ、リーグ4位の防御率をマークした。この二軍での実績が評価され、9月6日の対阪神タイガース戦（阪神甲子園球場）で救援投手として移籍後初の一軍登板を果たした。さらに同年10月1日、対東京ヤクルトスワローズ戦（明治神宮野球場）でプロ入り後初めて先発のマウンドに上がり、5回を無失点に抑える好投でプロ初勝利を挙げた。しかし、この年の一軍登板は以上の2試合に留まった。

2014年もイースタン・リーグで主力投手として活躍した。22試合に登板し、8勝6敗の成績を残し、リーグの最終規定投球回にも到達。防御率2.76という好成績で、イースタン・リーグ最優秀防御率のタイトルを獲得した。二軍での圧倒的な安定感を見せたものの、一軍での登板は4試合に留まり、勝敗は付かなかった。

2015年春には一般女性と再婚した。このシーズンはイースタン・リーグで14試合に登板し、3勝3敗を記録したが、前年に続き一軍での登板機会はなかった。

プロ8年目となった2016年シーズンは、一軍・二軍ともに公式戦での登板機会を得られないまま終盤を迎えた。同年10月2日に球団から戦力外通告を受けたことを受け、現役引退を決意した。10月25日にはNPBから任意引退選手として公示され、9年間のプロ野球選手としてのキャリアに幕を下ろした。

選手としての特徴

阿南投手の最大の持ち味は、ボールを低めに集め、打者をゴロに打ち取る投球スタイルにあった。最速140km/hを超えるストレートに加え、縦のスライダー、フォークボール、ツーシームなどを持ち球としていた。先発投手としてもリリーフ投手としても起用可能な汎用性も評価されていた。かつて巨人の投手コーチだった川口和久氏は、阿南投手のストレートの質を評価する一方で、変化球の精度を課題として指摘していた。オリックス時代はスライダーを中心とした変化球を多く使う傾向にあったが、巨人移籍後は新たに習得したツーシームや、力強いストレートを主体としたピッチングスタイルへと変化していった。

投球フォームについては、2012年秋にサイドスローに転向を試みた時期もあったが、翌2013年春季キャンプでは再び腕の位置を上に戻すなど、自身の最適なフォームを模索していた経緯がある。また、左腕投手でありながら、プロ入り当初は両打席に立つスイッチヒッターであったが、プロ2年目の2011年からは左打ちに登録を変更している。

現役引退後

現役引退後も、阿南氏は引き続き読売ジャイアンツの球団職員としてチームに貢献している。2017年からは、球団が運営する少年野球スクール「ジャイアンツアカデミー」のコーチとして、若い世代への野球指導に当たった。2018年をもってアカデミーコーチを退任し、2019年からはジャイアンツの広報部に所属。2022年からは一軍サブマネージャーを兼任し、2024年からは一軍マネージャーを務めるなど、裏方としてチームを支える重要な役割を担っている。

詳細情報・記録

初記録

初登板：2010年3月27日、対福岡ソフトバンクホークス2回戦（福岡Yahoo! JAPANドーム）、8回裏1死に3番手で救援登板、1/3回無失点
初奪三振：2010年4月4日、対千葉ロッテマリーンズ3回戦（京セラドーム大阪）、7回表に金泰均から空振り三振
初ホールド：2010年5月5日、対福岡ソフトバンクホークス9回戦（京セラドーム大阪）、11回表に5番手で救援登板、1回無失点
初先発・初勝利・初先発勝利：2013年10月1日、対東京ヤクルトスワローズ21回戦（明治神宮野球場）、5回無失点

その他の記録

1イニング被満塁本塁打2本：2010年6月20日、対北海道日本ハムファイターズ11回戦（京セラドーム大阪）、8回表に小谷野栄一、金子誠に被弾
※史上3人目、中継ぎ投手としては初

背番号

43 （2010年 - 2012年）
99 （2013年 - 2016年）

阿南徹

阿南 徹

経歴