阿史那昕

阿史那昕（あしな きん、拼音: Āshǐnà Xīn、? - 742年）は、西突厥最後の可汗であり、阿史那懐道の子として生まれました。彼は十姓可汗、開府儀同三司、濛池都護といった地位を歴任しました。

生涯

739年、突騎施（テュルギシュ）の吐火仙可汗が安西都護の蓋嘉運によって捕らえられるという事件が起こりました。これを受け、740年、唐朝は阿史那懐道の子である阿史那昕を十姓可汗、開府儀同三司、濛池都護に任命し、彼の妻である涼国夫人李氏を交河公主として冊立しました。唐朝は阿史那昕を十姓可汗とすることで、突騎施を治めさせようと試みました。

しかし、この動きに対して、突騎施の莫賀達干（バガ・タルカン Baγa Tarqan）が反発しました。彼は諸々の部族を誘い、唐朝に対して反乱を起こしたのです。そのため、唐朝は一旦、阿史那昕を突騎施に派遣する計画を取りやめ、代わりに莫賀達干を可汗として、突騎施の民を統べさせることにしました。

742年4月、唐朝は再び阿史那昕を十姓可汗に任命し、交河公主と共に兵をつけて突騎施まで護送しました。しかし、阿史那昕は碎葉城（スイアブ Suyab）の西に位置する倶蘭（クーラーン Kūlān）城に到着したところで、莫賀達干によって暗殺されてしまいました。交河公主とその子である阿史那忠孝は中国に逃げ帰り、阿史那忠孝は唐朝によって左領軍衛員外将軍の位を授けられました。この事件によって、西突厥はついに滅亡することとなりました。

妻子

妻: 交河公主 - 涼国夫人李氏
子: 阿史那忠孝 - 左領軍衛員外将軍

参考資料

『旧唐書』列伝一百四十四下 突厥下
『新唐書』列伝一百四十下 突厥下
佐口・山田・護訳注『騎馬民族誌２正史北狄伝』（1972年、平凡社）
内藤みどり『西突厥史の研究』早稲田大学出版部、1988年

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