阿波山上神社

阿波山上神社

阿波山上神社（あわやまのうえのじんじゃ）は、茨城県東茨城郡の城里町にある神社で、「降木明神」とも呼ばれています。この神社は「延喜式神名帳」に記載されている「阿波山上神社」に由来し、旧社格は郷社に位置づけられています。例祭は毎年4月15日に行われます。

概要

この神社は城里町北部の桂地区に位置し、その境内の西側には国道123号が通っています。一見すると「山上」という名前ですが、実際には那珂川と桂川に囲まれた平坦な地域に立地しています。『神社覈録』の記述によると、古くはこの地域を大山村と呼び、その上に位置する場所から「阿波山上」と名付けられたとの伝説が残されています。実際、「阿波」という名は、延喜式神名帳だけでなく、『倭名類聚抄』にも見ることができ、古い地名の一つです。

また、阿波の地名は、粟の栽培が盛んな地域を指すとの说法もあります。「阿波山上神社」のそばには古くから粟野村が存在し、これはその名残とされています。中世以降にも、粟の名を含む地名が多数見られ、地域の歴史的背景を物語っています。

祭神と神木

当社の祭神は少彦名命です。彼は童子の姿を持ち、手に粟穂を抱えた神として知られています。このことから「降木明神」という名がつき、陰影を持つような神々しさがあります。また、神体は木製の立像であり、その周囲にはかつて樹齢千年と言われた巨杉が祀られていましたが、自然災害によって失われました。その後、今の神木が育つきっかけとなっています。

境内には、八幡神社、富士神社、疱瘡神社など、他にも多くの境内社が存在しています。特に伊勢神明社と東照天満神社は、一部の資料には記されていませんが、地域の信仰の中心として重要です。

歴史

社伝によれば、阿波山上神社は大宝元年（701年）に創建されたとされます。歴史の中で、善良な人物や歴代の領主たちがこの神社を崇敬し、祭神の御加護を信じてきました。849年には「阿波神」として位を昇叙し、その後『延喜式神名帳』にも記載されました。この神社は中世においても重要な信仰の場であり続け、多くの人々から頼られてきました。

特に、親鸞がこの地域で布教活動を行った際に、阿波山上神社を訪れたエピソードが伝えられています。さらに、義舜からの戦勝祈願があった際にも、神社の重要性が強調され、歴代の領主たちに愛されてきました。

江戸時代になると、徳川斉昭が社領を寄進し、修繕も行ったことで、神社の整備が進みます。近代社格制度においては、郷社としての地位も確立されました。

このように、阿波山上神社はその名の通り豊かな歴史と信仰に支えられながら、地域の人々に親しまれてきた神社です。訪れることで地域の文化や伝説に触れることができる貴重な場所となっています。

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