阿那律

阿那律（Aniruddha）

阿那律（あなりつ）は、釈迦の十大弟子の一人であり、その優れた洞察力から「天眼第一」と称えられています。彼の名前は経典によって異なる表記がされ、他に阿泥盧豆や阿奴律陀、楼逗などの音訳が存在します。これらの意訳には「如意」、「無滅」、「善意」などがあります。

出身について

阿那律は釈迦の従弟とされており、彼の出自には様々な説があります。一般的な説として、彼は釈迦族の斛飯王（ドローノーダナ）の太子であり、兄の摩訶男（マハーナーマン）とは異なる別人とされています。また、甘露飯王（アムリトーダナ）の太子だとする説もあり、いずれにせよ兄の摩訶男の弟という点は共通しています。

経歴の概要

釈迦が故郷のカピラ城に戻った際、難陀（アーナンダ）と羅睺羅（ラーフラ）が最初に仏弟子となり、釈迦族の青年たちも出家を決意しました。阿那律は兄の摩訶男と相談し、彼に従って出家することを決めました。しかし、その際に母親が兄弟の出家を躊躇したため、友人の跋提梨迦王の出家を見届けた後、自身も出家することとなりました。

インドのカースト制度において、下層のシュードラ出身で調髪師の優波離（ウパーリ）が既に出家を許されており、阿那律は彼に礼を尽くし、釈迦からも高慢を捨てたと讃えられる場面がありました。

修行と特技

後に、阿那律は釈迦が舎衛城の祇園精舎で説法をしている際に眠ってしまい、釈迦から叱責を受けました。彼は不眠不休の誓いを立て、常坐不臥の厳しい修行を行いました。釈迦が彼の健康を心配し眠っても良いと諭しましたが、彼は誓いを全うすることにこだわり、最終的に失明してしまうのです。しかし、失明したことで天眼を得ることにもなりました。

彼は過去世において、飢饉の時代に苦しむ人々に施しを行ったことで、その功徳を受け、今生でも豊かな人生を享受しました。また、針に穴を通して僧衣を縫うことに苦しむ姿を釈迦に見られ、助けられた逸話も残されています。

釈迦との最期

釈迦の最後の教導旅にも同行し、釈迦の死後に悲しむ弟子たちを慰め、励ましたと言われています。釈迦が入滅した際には、阿難陀からの指示によって、クシナガラで葬儀の準備が整えられたとも伝えられています。

釈迦の教えを広め続けた彼の姿は、現在でも多くの信者に影響を与えています。阿那律の存在は、多くの人々にとって深い教訓をもたらす象徴として、多くの教典や伝承に語り継がれています。

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