阿野季綱

阿野季綱（あの すえつな）は、戦国時代の公卿であり、官位は従三位にまで昇りました。

生涯

阿野季綱の父である公熈（きんひろ）は、応仁の乱の際に葉室光忠とともに足利義視を支持しました。母もかつて義視の寵愛を受けていたとされ、その縁から義視の子である足利義材（後の義稙）が将軍となると、阿野季綱もその信任を得るようになりました。明応の政変の際にも義材に近侍していましたが、戦火を避けて京都を脱出しています。

明応7年（1498年）には、京都を離れて越中国に亡命していた足利義材のもとに合流し、東坊城和長に義材の改名について相談を持ちかけるなど、京都の朝廷や公家との連絡係として活動しました。

永正5年（1508年）に足利義稙（義材が改名）が将軍として京都に復帰すると、その功績が認められ、同年7月16日に参議兼左近衛中将に任ぜられ、位階も従四位上に進みました。復帰後の季綱は、義稙のために朝廷や公家との交渉を行い、細川高国や大内義興に義稙の意向を伝えるなど、将軍側近としての地位を確立しました。

永正6年（1509年）には正四位下、永正8年（1511年）には従三位に叙せられましたが、同年、41歳という若さで急逝しました。

系譜

父：阿野公熙
母：勧修寺経成の娘
妻：無
養子：阿野季時（実父は万里小路賢房）

人物

阿野季綱は、足利義視、義材、義稙と三代にわたり足利将軍家に仕え、特に義稙の側近として、朝廷や公家との交渉役を担いました。彼の活動は、当時の政治情勢や公家社会における役割を理解する上で重要な手がかりとなります。

参考文献

野島寿三郎編 編『公卿人名大事典』日外アソシエーツ、1994年、32頁。ISBN 4816912444。
木下昌規「足利義稙の側近公家衆の役割をめぐって」『戦国期足利将軍家の権力構造』岩田書院、2014年。ISBN 978-4-87294-875-2。（初出：「足利義稙の側近公家・阿野季綱の役割をめぐって」『戦国史研究』第56号、2008年。）

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