阿野実治

阿野実治は、室町時代中期に活躍した公卿です。権中納言である阿野公為の子として生まれました。

実治は、祖父である阿野実為と父・公為が南朝方の公卿であったという背景から、当初は護聖院宮に近臣として仕えていました。永享の初めには侍従を務めていましたが、6代将軍・足利義教の方針により護聖院宮が断絶することになり、その後は朝廷に仕えることとなります。

永享9年（1437年）3月には左近衛少将に任官し、同年8月には正五位下から従四位下に叙され、左近衛中将に転任しました。永享10年（1438年）3月には美濃介を兼任し、永享11年（1439年）1月には従四位上に昇叙、嘉吉2年（1442年）には正四位下に昇進しています。

文安3年（1446年）3月には参議に任じられ、公卿としての地位を確立しました。文安4年（1447年）3月には伊予権守と右近衛中将を兼任し、同年12月には従三位に昇叙されます。文安5年（1448年）1月には権中納言に任じられましたが、翌文安6年（1449年）2月11日、病のため57歳で薨去しました。

阿野実治は、激動の時代を生き、足利義教による宮家の断絶という出来事を経ながらも、着実に昇進を重ね、最終的には権中納言にまで上り詰めた人物として、その名を知られています。

系譜
父：権中納言阿野公為
母：不詳
妻：不詳
男子：公済
男子：阿野公煕

参考文献
『阿野家譜』（東京大学史料編纂所蔵）
* 橋本政宣編『公家事典』吉川弘文館、2010年。ISBN 9784642014427。

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