阿須賀神社

阿須賀神社について

阿須賀神社（あすかじんじゃ）は、和歌山県新宮市に鎮座する歴史深い神社です。この神社は、熊野曼荼羅三十三ヶ所霊場の第23番として知られています。

由緒と歴史

阿須賀神社は、熊野川の河口近くに位置する蓬莱山の南端にあります。古くは飛鳥社とも呼ばれていました。蓬莱山はその独特な形状から、神奈備の典型として認識される小丘陵であり、南北100メートル、東西50メートル、高さ48メートルの規模を誇ります。この地域は古くから信仰の対象となり、特に熊野権現に関わる重要な場所です。

神倉神社に降臨した熊野権現は、61年後に阿須賀神社近くの石淵谷に勧請され、「結早玉家津美御子」と称されるようになりました。このため、阿須賀神社は熊野権現の神名が初めて現れた場所とされています。また、境内からは弥生時代の遺跡も発掘され、地域の信仰と歴史の深さが伺えます。

社伝によれば、阿須賀神社は孝昭天皇の時代に創建されたと伝わっています。平安時代には熊野権現が本地を定め、その後大威徳明王を本地仏として祀るようになりました。特に平安時代後期から中世にかけては、阿須賀神社への参拝が一般的であり、参詣者の間で広く知られていました。

祭神

阿須賀神社では、事解男命（ことさかおのみこと）や熊野速玉大神（くまのはやたまのおおかみ）、熊野夫須美大神（くまのふすみのおおかみ）、家津美御子大神（けつみみこのおおかみ）を祭神として崇めています。また、事角見命や黄泉津道守命なども神社に祀られています。

境内の特徴

境内には本殿および拝殿があり、それらは古い伝統的なデザインで建てられています。また、社務所、阿須賀会館、新宮市立歴史民俗資料館なども境内に位置し、地域の文化財や歴史を保存・展示しています。特に重要な文化財とされる出土品は、熊野の歴史を物語る貴重なものであり、国の重要文化財として認定されています。

蓬莱山経塚と阿須賀遺跡

社殿の裏側には、蓬莱山経塚があり、ここからは数多くの重要な出土品が発掘されています。これらは平安時代から室町時代にかけての貴重な文化財です。また、阿須賀遺跡は新宮市周辺の弥生時代から古墳時代にかけての集落跡を示す重要な場所で、豊かな文化が栄えていたことが伺えます。

自然環境と文化的資源

阿須賀神社の後ろには蓬莱山の社叢があり、豊かな植物相を有する貴重な森として市指定の天然記念物に選定されています。また、特に注目されるのはテンダイウヤクという植物です。これは古くから薬用として利用されており、徐福伝説とも関連しています。

アクセスと周辺

阿須賀神社へのアクセスは、JR紀勢本線新宮駅から徒歩約10分と非常に便利です。周囲には新宮城や徐福上陸の地などの歴史的な場所も点在しており、訪れる人々は神社の神秘的な雰囲気と共に、周辺の歴史を感じながら散策することができます。特に新宮市立歴史民俗資料館では、地域の文化や歴史に関する魅力的な展示が行われています。

このように、阿須賀神社は歴史、文化、自然が見事に融合した場所で、多くの人々に信仰され続けています。

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