院宮給

院宮給（いんぐうきゅう）とは、上皇（院）と三后（皇后・皇太后・太皇太后）に給与される年官と年爵のことです。特に「御給（おんきゅう）」とも呼ばれ、親王以下の皇族や臣下に与えられる「人給」とは区別されました。また、准后に叙せられた人臣に対しても、院宮給に準じた待遇が付与されました。

院宮給の成立

院宮給の成立時期については諸説ありますが、三后への年官は淳和天皇の時代に成立したと考えられています。宇多上皇が院宮給のあり方について言及した『寛平御遺誡』が成立した寛平年間（889年 - 898年）には、三后への年爵、上皇への年官・年爵も既に存在していたと推測されています。

院宮給の内容

院宮給の内容は、年爵（従五位下）1名、内官（京官）1名、国司の掾（じょう）1名、同じく目（さかん）1名、史生（ししょう）3名でした。後に女爵1名が追加されています。年爵や内官は収入が多く、推挙の見返りとして被任命者から送られる収入も期待できました。これは人給には見られない特徴です。

院宮給の変遷

しかし、国家財政の逼迫と地方政治の衰微によって、院宮給による収入が減少すると、様々な対策が講じられました。臨時給や合爵（官職への推挙権を返上する代わりに、より実入りのある年爵を1名分増加させる措置）などの一時的な対応策が取られましたが、それでも不足を補うことができませんでした。

そこで、恒久的な対策として院宮分国制が導入されました。これは、特定の国の収入を院や三后に割り当てる制度です。また、年爵で推挙できる位階の引き上げも行われました。院政期には、公卿である従三位まで推挙可能となり、院や三后の権威はますます高まりました。

院宮給は、当初は上皇や三后の生活を支えるためのものでしたが、時代とともにその性格を変え、権力基盤としての側面を強めていきました。財政状況の変化や政治情勢の変動に応じて、その形態を変化させながら、長く日本の歴史に関わってきた制度といえるでしょう。

関連項目

* 院宮王臣家

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