陳俊 (明)

陳俊（ちん しゅん、1419年 - 1488年）は、明代中期に活躍した官僚です。字は時英といい、興化府莆田県を本貫とします。彼は、その生涯を通じて、卓越した行政能力と清廉な人柄で、明朝の発展に大きく貢献しました。

若き日の才能

陳俊は、陳珪の子として生まれました。幼い頃から学問に励み、1447年（正統12年）には郷試で首席となり、解元という栄誉に輝きました。翌年の1448年（正統13年）には、進士に合格し、官僚としてのキャリアをスタートさせます。1449年（正統14年）には戸部主事に任命され、その才能を早くから発揮し始めました。

行政手腕の発揮

1454年（景泰5年）、陳俊は天津諸衛の軍を監督し、薬草を採取する任務を遂行します。同時期、蘇州・松江の折納銀を不正に改鋳する事件が発生しました。陳俊がこの監督に派遣されると、彼は迅速かつ的確に事態を収拾し、不正に侵奪された銀を回収しました。その手腕を高く評価した戸部尚書の金濂は、彼に諸曹の上奏文作成を任せるなど、その才能を認めました。1459年（天順3年）には戸部員外郎、1460年（天順4年）には礼部会試の試験官を経て、戸部郎中に昇進します。

1461年（天順5年）、両広での瑤族の反乱鎮圧のために兵が動員されると、陳俊は食糧輸送の監督を任されました。当時の両広は荒廃しており、官倉は空の状態でした。陳俊は、塩商の越境規制を緩和して米の輸送を促進し、窮乏する人々に食糧を配給するなど、優れた手腕を発揮しました。母の死去により一時帰郷を願いますが、英宗に慰留され、反乱鎮圧後にようやく帰郷を果たします。

国家を支える重臣へ

1465年（成化元年）、陳俊は南京太常寺少卿に抜擢され、1468年（成化4年）には北京に召還され、戸部右侍郎に任じられます。当時、各地で災害が頻発し、辺境の諸鎮は食糧不足に苦しんでいました。陳俊は、地方からの要請に対し、迅速かつ的確な判断を下し、戸部尚書の楊鼎からの信頼も厚く、その職務を全うしました。1471年（成化7年）、北京で飢饉が発生すると、陳俊は太倉を開放して粟を放出し、食糧価格の安定化に尽力しました。食糧買い占めを阻止するために、購入量を制限するなど、不正行為にも厳しく対処しました。オルドスへの出兵が議論されると、陳俊は河南・山西・陝西に赴き、巡撫諸臣と協力して食糧輸送を円滑に進め、戦局を有利に導きました。その功績により、俸禄を一級進められています。その後、1473年（成化9年）には吏部右侍郎、1475年（成化11年）には吏部左侍郎へと昇進を重ねます。

南京での活躍と晩年

1477年（成化13年）、陳俊は南京戸部尚書に任じられ、1479年（成化15年）には南京兵部尚書に転じ、機密事項にも関与しました。1484年（成化20年）には南京吏部尚書に異動します。1485年（成化21年）、天文の異変をきっかけに、陳俊は九卿を率いて時弊二十事を上奏し、皇帝はその多くを採用しました。1486年（成化22年）、陳俊は長年の功績を認められ、致仕を願い出て許されます。太子少保の位を加えられ、その功績を称えられました。1488年（弘治元年）2月29日、70歳でこの世を去りました。諡は康懿と称えられ、その優れた業績は後世に語り継がれています。

陳俊は、その生涯を通じて、明朝の発展に大きく貢献しました。彼の行政手腕、清廉な人柄、そして国家への忠誠心は、多くの人々に感銘を与え、後世の官僚たちの模範となりました。

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