陳珪 (明)

陳珪（ちん けい、1335年 - 1419年）は、明代の官僚であり、軍人としても活躍した人物です。彼の生涯は、明朝の成立と発展に深く関わっています。

初期の活躍

陳珪は、洪武帝の時代に大将軍徐達の配下として、中原の平定作戦に従軍しました。その武勇と忠誠心から、龍虎衛百戸に任じられ、その後、燕山中護衛へと転じました。燕王朱棣（後の永楽帝）の信任を得て、塞北への遠征では先鋒を務め、副千戸に昇進しました。これらの初期の戦歴から、陳珪が卓越した軍事的能力を持っていたことが窺えます。

靖難の変での貢献

1399年（建文元年）に靖難の変が勃発すると、陳珪は燕王朱棣の挙兵に加わり、数々の戦いで功績を上げました。その功績が認められ、指揮同知に昇進しました。北平（現在の北京）に戻った後は、燕王の世子である朱高熾（後の洪熙帝）を補佐し、その地の防衛に尽力しました。この間、陳珪は軍事だけでなく、政治的な手腕も発揮し、朱棣の信頼を確固たるものにしました。

泰寧侯への封爵

その後、陳珪は都督僉事に累進し、泰寧侯に封じられました。これにより、彼は1200石の禄を受ける身分となり、明朝における重要な地位を確立しました。1406年（永楽4年）には、北京の宮殿建築の総司令官である「董志斉史」に任命され、この大事業を指揮しました。彼の計画は合理的かつ効率的であり、その手腕は永楽帝（朱棣）から高く評価されました。

永楽帝の遠征と晩年

1410年（永楽8年）、永楽帝が第一次漠北遠征に出陣すると、陳珪は駙馬都尉の袁容とともに、趙王朱高燧を補佐して北京の留守を任されました。このことからも、陳珪が国家の重要な局面で常に信頼されていたことが分かります。1417年（永楽15年）には、鑄繕工印を与えられ、行在後府を兼掌するなど、その職務は多岐にわたりました。1419年（永楽17年）4月、陳珪は85歳で生涯を閉じました。彼の死後、その功績を称えて靖国公に追封され、諡は忠襄とされました。

子孫

陳珪の後を継いだのは、息子の陳瑜でした。しかし、陳瑜は1422年（永楽20年）に永楽帝の第三次漠北遠征に従軍した際、紀律違反を犯し、獄死するという悲劇に見舞われました。

まとめ

陳珪は、明朝の初期に軍人、官僚として重要な役割を果たした人物です。洪武帝から永楽帝に至る激動の時代を生き抜き、多くの功績を残しました。特に靖難の変での貢献や北京の宮殿建築の監督など、その影響は明朝の歴史において特筆すべきものです。彼の生涯は、明朝の発展を支えた一人の功臣の物語として、後世に語り継がれています。

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