陳選

陳選（ちん せん、1429年 - 1486年）は、明代中期に活躍した官僚です。字は士賢、号は克庵といい、台州府臨海県を本貫とします。幼少の頃から誠実で寡黙、聖賢を目指す志を持っていました。

1460年、科挙に合格し進士となります。1463年には監察御史に任命され、江西巡按として不正を働く官吏を厳しく処分しました。その徹底ぶりは「先に韓雍あり、後に陳選あり」と評されるほどでした。反乱軍が贛州府に侵入した際には、迅速に兵を派遣して鎮圧しています。

1464年、成化帝が即位すると、陳選は尚書や侍郎といった高官を弾劾し、翰林院の官僚を擁護しようとしました。その言は聞き入れられなかったものの、人々は彼の凛とした態度に畏怖の念を抱いたと言います。1467年には、南畿の学校を監督する役目を担い、冠婚葬祭や射儀を学宮で奨励し、生徒たちにそれらを習わせました。また、自ら『小学集註』を編纂し、教育に尽力しました。学宮に寝泊まりし、夜間には生徒たちの学習状況を視察するなど、教育に情熱を注ぎました。試験の際には、答案の記名部分を糊で隠す慣習を廃止し、「自分を信じないで、どうして他人を信じられようか」と述べています。

1471年、河南按察使司提学副使に転任すると、南畿での経験を生かし、河南でも教育の発展に貢献しました。宦官の汪直が巡察に訪れた際、他の官僚がへりくだって拝謁する中、陳選は拱手礼のみにとどめました。汪直から役職を問われた際には、「提学副使であり、人の師であるから、自ら身を屈して辱めを受けることはできない」と答え、その毅然とした態度を示しました。

1478年、河南按察使に昇進した陳選は、多くの囚人を釈放し、冤罪を晴らしました。その統治は簡潔さを重視し、不正を行う官吏には厳しく対処しました。その後、広東右布政使に転じ、1484年には広東左布政使に進んでいます。肇慶府で洪水が発生した際には、朝廷の許可を待たずに官倉を開放し、被災民を救済しました。

1485年、成化帝が外国からの朝貢を減らすよう命じた際、市舶中官の韋眷が均徭戸を方物の処理に割り当てようとしたことに対し、陳選は勅命を根拠に反対しました。また、スマトラの使臣を偽って朝貢しようとした馬力麻を追放し、サマルカンドからの使者が広東から海路を使って交易しようとした際には、その許可に反対しました。これらの行動から、韋眷は陳選を憎むようになりました。

かつて番禺知県の高瑶が韋眷の不正蓄財を摘発した際、陳選はこれを奨励し、朝廷に報告していました。1486年、韋眷は陳選と高瑶を汚職官僚として誣告しました。成化帝は調査のため刑部員外郎の李行を派遣しましたが、李行は韋眷を恐れて誣告を追認し、陳選は高瑶とともに逮捕され、北京へ護送されることとなりました。数万の民衆が陳選の護送を阻止しようとしましたが、彼は官吏としての職務を全うするため、召喚に応じました。しかし、道中の南昌府で病に倒れ、5月21日に58歳で亡くなりました。

1488年、主事の林沂の上奏により、陳選の冤罪は晴らされ、生前の官位を回復、礼をもって葬られました。1516年には、光禄寺卿の位が追贈され、諡号は恭愍とされました。著書には『小学句読』全6巻があります。

陳選の生涯は、清廉潔白な官吏の模範として、後世に語り継がれています。

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