陶凱

陶凱（とう がい、生年不詳 - 1376年）は、元末から明初の時代に活躍した学者であり、官僚です。字は中立といい、本貫は台州臨海県にありました。

生涯
元の時代、至正年間に明経の試験に合格しました。郷里の推薦を受け、永豊教諭に任じられましたが、実際にその職に就くことはありませんでした。明が建国された洪武初期、推薦を受けて南京に召し出され、朝廷に出仕しました。『元史』の編纂事業に携わり、その完成後には翰林応奉に任じられ、大本堂で教育を担当しました。特に楚王朱楨には経学を教授しています。

1370年（洪武3年）7月、陶凱は崔亮と共に礼部尚書に任命されました。軍礼や品官の墳墓に関する制度は、陶凱の提議によって定められたものです。同年中に崔亮が亡くなると、陶凱は単独で礼部尚書となり、科挙の方式を定めました。翌年、会試が行われると、陶凱は主考官として試験を監督し、呉伯宗ら120名を合格させ、殿試に進ませました。また、陶凱は太廟に常祀があることを考慮し、乾清宮の左側に奉先殿を新設し、歴代皇帝の神霊を祀るよう進言しました。

1372年（洪武5年）、陶凱は会要の編纂を上奏し、洪武帝に受け入れられました。1373年（洪武6年）2月には湖広参政として地方へ赴任しましたが、後に辞職しました。1375年（洪武8年）には国子祭酒として再び朝廷に召し出され、翌年には晋王府左相に転任しました。

陶凱は博学であり、詩文に非常に長けていました。洪武帝は、前代の楽章に阿諛追従の言葉が多く、文章も洗練されていないことを嫌い、陶凱と詹同に改作を命じました。一時、詔令、封冊、歌頌、碑誌の多くが陶凱の手によって書かれたと言われています。しかし、陶凱が自ら「耐久道人」と号したことが洪武帝の不興を買いました。

礼部尚書在任中、朝廷の主客曹の官吏を高麗への使節として派遣した際、符験の誤用が発覚し、その責任を問われて死刑を宣告されました。金牌により死罪を免れる機会がありましたが、楚王投水事件の責任を自ら引き受ける形で死刑を受けました。死後、太子少保の位を追贈されています。張籌らとの共著として『宗藩昭鑑録』5巻が残されています。

人物・評価
陶凱は、学識が深く、詩文にも優れた才能を発揮した人物でした。明朝初期の制度確立に大きく貢献しましたが、その最期は悲劇的でした。彼の博学ぶりは、洪武帝に重用される要因となりましたが、同時に皇帝の機嫌を損ね、それが彼の命を奪う結果になったとも言えるでしょう。

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