陸奥外交

陸奥外交について

概要

陸奥外交とは、明治中期における陸奥宗光外務大臣の外交政策を指します。この政策は日本の外交史において特に重要な位置を占めています。陸奥が初めて名を知られるようになったのは1891年、駐米公使としてメキシコとの間で結んだ日墨修好通商条約の時でした。この条約は、日本にとって初めての平等条約であり、国際社会における地位を確立する一歩となりました。

1892年に、第2次伊藤内閣が成立し、陸奥はその内閣の外務大臣に任命されました。彼はかつて立志社の獄の首謀者とされたことがあり、明治天皇からの信任が薄かったと言われています。しかし、首相の伊藤博文は陸奥の優れた外交能力を高く評価していました。

外交政策の詳細

当時、外務省は対外強硬派である硬六派が多くを占めていましたが、陸奥は彼らの「条約励行運動」に対抗し、段階的な条約改正を目指しました。具体的には、イギリスとの間での治外法権の撤廃に積極的に努め、1894年7月には日英通商航海条約を締結しました。これは、日本の関税自主権を確保するための重要な一歩でした。

また、朝鮮半島で発生した甲午農民戦争や東学党の乱を受けて、陸奥と川上操六参謀次長は清国に対して強硬論を唱え、日清戦争を引き起こしました。この戦争では、日本が有利な立場を維持しつつ、下関条約の締結へと導かれました。陸奥は、朝鮮半島を日本の勢力圏に取り込む目的から、強引な外交姿勢を取ったとの批判もありますが、長期的な平和を保持するにはこの戦争が不可欠だった側面もあります。

三国干渉とその後

戦後の三国干渉の際、陸奥は列国会議によって干渉を阻止する案に反対しました。彼は、遼東半島の返還を強く主張し、日本が戦争の成果を多く保持できるように努めました。当時病床にあった彼は、列国会議が長期化することで清国が干渉に従わなくなる可能性を懸念していました。

政治的には、陸奥は非藩閥出身でありながらも、伊藤の信任によって政治基盤を築いていました。さらに自由党の中島信行や星亨とは親しい関係にあり、共に現実的な政策の転換を目指して活動していました。彼は、陸奥外交を「軟弱」とする硬六派の圧力に屈せず、冷静な分析に基づく政策を推進しました。

結論

陸奥外交は、現実主義と帝国主義の観点から、日本が朝鮮や満洲など東アジアへの進出を果たす上で重要な役割を果たしました。これらの外交活動を通じて、日本は国際社会における影響力を強化し、近代国家としての地位を確立する道を切り開いたのです。

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