陸軍大将 (日本)

陸軍大将とは

陸軍大将（りくぐんたいしょう）は、大日本帝国陸軍における将官の最上位の階級です。元帥の称号を与えられた陸軍大将は、特に元帥陸軍大将と呼ばれました。戦前の日本陸軍において、陸軍大将は官吏の最上級である親任官に位置づけられ、内閣総理大臣や枢密院議長と同格の存在でした。

陸軍大将への進級

中将から大将への進級は、「陸軍武官進級令」に基づいていました。同令第10条には、「中将を大将に進級させるには、歴戦の経験者または重要な軍務の経歴を持つ者で、特に功績が顕著な者を天皇が特旨をもって親任する」と定められていました。当初は歴戦の経験と顕著な功績が条件でしたが、日露戦争以後は実戦の機会が減ったため、1906年（明治39年）に「枢要なる軍務の経歴」という条件が追加されました。

ここでいう「枢要なる軍務」とは、陸軍三長官（陸軍大臣、参謀総長、教育総監）をはじめ、航空総監、陸軍次官、参謀次長、築城本部長、技術本部長、軍司令官、師団長、警備司令官、造兵廠長官などの要職を指します。

大将への進級は、実役停年（次の階級に進む目安となる在任年数）も考慮されました。内規では6年（法令上は4年）と定められ、これを満たした中将の中から先任順に天皇に奏上されました。ただし、1941年（昭和16年）11月には、東條英機中将の首相就任に伴い、この内規が5年に短縮されました。これは、年数不足の東條を大将に進級させるための特例措置でした。この特例により、篠塚義男中将は東條に先を越され、大将への進級を果たすことができませんでした。

陸軍大将の定年（実役定限年齢）は65歳と定められており、65歳までに終身現役である元帥に列せられない場合は、予備役に編入されました。1944年（昭和19年）に内閣総理大臣に就任した小磯國昭は、1938年（昭和13年）に予備役となっており、その後は拓務大臣や朝鮮総督を務めていました。そのため、首相就任時には戦争の状況を全く把握しておらず、最高戦争指導会議も機能不全に陥りました。

太平洋戦争（大東亜戦争）開戦後は、中将の戦死者が続出したため、戦死した中将の中から、武功が顕著で、かつ親補職を2年半以上経験した者を陸海軍の協議によって大将に進級させるという内規が設けられました。これにより、7名の中将が特例で大将に進級しました。栗林忠道中将は、この年限を満たしていませんでしたが、特旨によって大将に進級しました。

陸軍では、兵科のみに大将が置かれており、主計、軍医などの各部将校相当官は海軍と同様に中将までとされ、大将はありませんでした。

階級章

陸軍大将の階級章は、金色の日章と桜星で構成されていました。

大日本帝国陸軍大将一覧

大日本帝国陸軍では、陸軍中将への進級者が1200名を超えるのに対し、陸軍大将に任官した者はわずか134名でした。そのうち17名が元帥府に列せられています。

阿部信行は金鵄勲章を持っていません。

関連項目

海軍大将 (日本)
陸上幕僚長
日本軍の階級

参考文献

秦郁彦 編著『日本陸海軍総合事典』（第2）東京大学出版会、2005年。

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