陽斐

陽 斐（よう ひ） - 北魏から北斉時代の官僚

陽斐（よう ひ）は、生没年不詳の北魏末から北斉にかけて活躍した官僚で、字は叔鸞、本貫は右北平郡無終県に生まれました。彼は父の陽藻（字は景徳）も官僚であり、家系としても政治的な影響力を持っていました。

経歴の初期

陽斐は北魏の時代に、特に孝荘帝の治世において名を馳せました。その際、彼は西兗州で流民を保護する活動を行い、その功績によって方城伯の爵位を授与されました。彼は侍御史に任命されると、都官郎中や広平王開府中郎を兼任し、重要な書物である起居注の修撰にもかかわりました。

南朝梁との関係

東魏の興和年間、陽斐は起部郎中に就任し、通直散騎常侍として南朝梁へ使者として派遣されました。南朝梁の尚書、羊侃とは古い友人でしたが、羊侃が北魏に叛いた過去を忘れない陽斐は、何度も訪問を誘われながらも応じませんでした。この彼の態度は、当時の政治的緊張を象徴しています。南朝梁の武帝が彼に友好関係を重視するよう説得しましたが、陽斐は頑なでした。

治水事業と政務への貢献

帰国後、陽斐は廷尉少卿に昇進し、国のために尽力しました。特に、石済での黄河の氾濫に対し、彼は橋の修理や渡し場の移設、石の基礎の築造を行いました。これにより、長期間にわたって河を利用できるようにし、地域の発展に寄与しました。また、他の官僚が民を苦しめる行為に先立って陽斐はその提案を退け、民の福祉を重視しました。

北斉時代の活動

天保元年（550年）に北斉が建国されると、彼は鎮南将軍や尚書吏部郎中に任命され、その後も活躍を続けました。公事のため一時免職となりますが、後に都水使者に就任。文宣帝が率いる北方の突厥討伐に際しては、長城の建設監督を任されるなど、その才覚を存分に発揮しました。

彼は徐州刺史を経て、最終的に廷尉卿や衛大将軍に昇進しました。さらに、殿中尚書や太子少傅といった重要な職務も代行しました。彼は多方面にわたって政治的影響を及ぼし、その在任中に亡くなりましたが、追贈として数々の位を受け、敬簡の諡を与えられました。

後世への影響

陽斐の子、陽師孝も中書舎人として名を残し、彼の業績はその後の時代においても語り継がれています。陽斐の生涯は、彼が政治における忠誠心と民の福利を重視したことを証明するものです。彼の事績は、多くの歴史書に記録されており、特に『北斉書』や『北史』に詳しい伝記資料があります。彼の真摯な姿勢や政治的判断力は、後の官僚たちにも大いに影響を与え、古代中国の政治史に名を刻んでいます。

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