羊侃

羊侃の生涯と業績

羊侃（ようがん、495年 - 549年）は、中国の北魏および南朝梁における著名な武将であり、政治家です。彼の字は祖忻（そきん）で、本貫は泰山郡梁父県にいます。羊侃は、その身長が約191センチメートルという恵まれた体格を持ち、文武に優れた人物として名を馳せました。彼は父である羊祉が梁州刺史を務めていた家庭に生まれ、先祖代々の武道や学問の影響を受けて成長しました。

経歴の始まり

彼の経歴は北魏に仕官するところから始まります。北魏の武将、蕭宝寅の部下として軍事的才能を発揮し、数々の戦闘で功績を収めました。しかし、大通2年（528年）、彼は故郷である南朝梁に帰る決断を下しました。族人や兵士数万を引き連れての南下は壮大な計画であり、長江北岸では幾度かの戦闘を経て、最終的に軍を解散し、一族と少数の従者のみで梁の武帝に従うことになりました。彼は北魏で重臣となった従兄の羊烈と対照的に、南朝での道を選んだのです。

南朝梁での政治と軍事

梁に仕官した後、羊侃は徐州太守や太子左衛軍、侍中、冠軍将軍などの要職を歴任しました。特に、太清元年（547年）には、東魏から降伏してきた侯景に対し、親友の朱异とは意見が対立しました。朱異は降伏を支持しましたが、羊侃はこれに反対し、「一度受け入れると決めた以上、断ることはできない」と主張しました。結果として、梁の武帝は朱異の意見を採用し、侯景を受け入れることにしました。

建康防衛戦と羊侃の死

しかし、後に侯景が読売高澄に敗北し、江北の地を失ったことで、彼は再び南朝に戻ることになります。建康（現在の南京）を包囲する軍勢を集め、羊侃はその防衛を任されました。防衛戦は数ヶ月にもわたり、城内にいた10万以上の住民にとっては命懸けの戦いとなりました。防衛戦の最中、羊侃の長男である羊鷟が敵軍に捕虜となり、降伏を求められましたが、彼は「主君に報いるために一族を捧げるには、まだ足りない」と答え、拒否しました。さらには、長男が再び降伏を促すと、羊侃は「お前はまだ生きていたのか」と激怒し、矢を放ったのです。

このような激しい状況の中、羊侃は過労により太清2年12月（549年1月）に病死しました。享年54歳でした。彼の死から数ヶ月後、建康は陥落し、城内で生き残ったのはわずか2万人以下でした。武帝も侯景の手にかかり、無念のうちに生涯を閉じました。

羊侃の子女

羊侃の子女もそれぞれの運命をたどりました。長男の羊鷟は捕虜となった後、行方不明となり、次男羊球は位爵を継いだものの数年後に病死しました。三男の羊鵾は侯景が入城後に隠棲し、その後官職に就くも、数年後に戦死しました。羊侃の娘は侯景の側室となることになりました。彼の家族もまた、大きな波乱の中で生きていくことになるのです。

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