隆光

隆光とは

隆光（りゅうこう）は、江戸時代中期に活躍した新義真言宗の僧です。慶安2年（1649年）に大和国の旧家、河辺氏に生まれ、幼名は河辺隆長、字は栄春と称しました。1658年に仏門に入り、長谷寺や唐招提寺で仏教を学んだ後、奈良や醍醐で密教を深く修めました。また、儒学や老荘思想にも通じていたと伝えられています。

徳川綱吉との出会いと寵愛

1686年、隆光は5代将軍徳川綱吉の命により、将軍家の祈祷寺であった筑波山知足院の住職に任命されました。この頃から、隆光は綱吉の厚い信任を得るようになり、10月3日には江戸城黒書院で安鎮法を修めています。1688年には、知足院を神田橋外に移転させ、護持院と改称してその開山となりました。1695年には、新義真言宗の僧として初めて大僧正に任ぜられるなど、隆光の地位は急速に高まりました。

失脚と晩年

宝永4年（1707年）に隆光は隠居し、駿河台成満院へ移りました。しかし、綱吉が死去すると、隆光は失脚してしまいます。1709年には江戸城への登城を禁じられ、筑波山知足院への復帰も認められませんでした。失意のうちに大和へ帰郷し、その地で生涯を終えました。隆光の墓所は、大阪府羽曳野市と奈良市の佐紀幼稚園裏に2箇所存在します。

生類憐れみの令との関係

隆光は、綱吉とその生母である桂昌院の寵愛を受け、生類憐れみの令を発令することを勧めた人物として知られていました。しかし、近年の研究では、生類憐れみの令が開始された時期は貞享2年以前とされており、隆光が政策に深く関与していたという説は薄れています。隆光は、京や奈良の寺社の再建を綱吉や桂昌院に勧めた人物でもあり、そのことが幕府の財政悪化の一因となったとも指摘されています。

隆光を演じた人物

隆光は、その特異な生涯から、多くのテレビドラマや映画で描かれてきました。以下に主な作品と演者を記します。

テレビドラマ
大奥（関西テレビ、1968年）演：夏目俊二→南原宏治
大奥（関西テレビ、1983年）演：日下武史
八代将軍吉宗（NHK総合、1995年）演：磯部勉
元禄繚乱（NHK総合、1999年）演：篠井英介
大奥〜華の乱〜（フジテレビ、2005年）演：火野正平
大奥〜誕生［有功・家光篇］（TBS、2012年）演：又吉直樹（ピース）
新解釈・日本史（TBS、2014年）演：若葉竜也
水戸黄門 スペシャル(2015年)（TBS、C.A.L、2015年）演：原口剛
大奥（NHK総合、2023年）演：山本學
映画
大奥〜永遠〜［右衛門佐・綱吉篇］（2012年）演：堺正章

隆光は、その波乱に満ちた生涯を通じて、江戸時代の社会や宗教、政治に大きな影響を与えた人物として、今もなお多くの人々の関心を集めています。

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