大奥〜永遠〜［右衛門佐・綱吉篇］

『大奥〜永遠〜［右衛門佐・綱吉篇］』は、2012年に公開された時代劇映画です。よしながふみによる人気漫画『大奥』を原作とし、男女の役割が逆転した江戸時代を舞台に、女将軍・徳川綱吉と、大奥でのし上がろうとする右衛門佐の愛憎劇を描いています。監督は金子文紀が務め、主演は堺雅人、ヒロインを菅野美穂が演じました。

この作品は、同年に放送されたテレビドラマ『大奥〜誕生［有功・家光篇］』の続編にあたり、同じ世界観を共有しています。ただし、物語はドラマ版から30年後の時代設定となっており、新たな登場人物たちが物語を繰り広げます。原作漫画の4巻から6巻をベースに、綱吉の治世下での大奥での権力争いと、右衛門佐と綱吉の愛を描いています。

あらすじ

物語は、貧しい公家出身の右衛門佐が、大奥で頭角を現していくところから始まります。彼は、御台所付きの上臈御年寄から、大奥のトップである大奥総取締へと異例の出世を遂げます。一方、綱吉は、才色兼備で肉食系の女将軍として描かれています。右衛門佐は、権力を手に入れるために綱吉に近づきますが、やがて二人は深く愛し合うようになります。

映画版では、原作漫画にほぼ忠実なストーリー展開がなされていますが、結末は大きく異なっています。原作では綱吉が死を迎えるまでが描かれていますが、映画ではそこまで描かれず、赤穂事件のエピソードも省かれています。映画のラストでは、将軍後継を決めた綱吉が右衛門佐のもとへ向かう途中で、側用人の吉保と出会います。吉保は、綱吉の首に手を掛けますが、殺害を諦め、二人は互いの心情を吐露し合います。その後、綱吉は婚礼衣装を思わせる姿で右衛門佐のもとへ向かい、右衛門佐を見つけた秋本と、笑顔の綱吉のアップで映画は幕を閉じます。このラストについて、原作者のよしながふみと主演の堺雅人は、映画では肉体の束縛から解き放たれたハッピーエンドとして描かれていると語っています。

キャスト

右衛門佐：堺雅人
貧しい公家出身の大奥総取締。
徳川綱吉：菅野美穂
五代将軍。才色兼備な肉食系女子。
柳沢吉保：尾野真千子
綱吉の側用人。桂昌院と関係を持つ。
秋本：柄本佑
物語の語り手。右衛門佐の部屋子。
玉栄：田中聖
桂昌院の若き日の姿。
伝兵衛：要潤
身分の低い側室。綱吉の娘の父。
大典侍：桐山漣
桂昌院が呼び寄せた側室。
新典侍：竜星涼
右衛門佐が呼び寄せた側室。

制作

本作は、テレビドラマ版よりも先に撮影されており、京都の東映京都撮影所や滋賀県の各地でロケが行われました。右衛門佐が綱吉を新典侍に会わせる茶室のシーンは、和歌山県の養翠園で撮影されました。

公開

映画は、2012年12月22日に日本全国で公開されました。また、ハワイ国際映画祭や京都ヒストリカ国際映画祭でも上映されました。初登場8位を記録し、最終興行収入は6億9800万円となりました。

その他

映画のプロモーションとして、人気キャラクター「カピバラさん」とのコラボレーション企画も実施されました。これは、主人公の右衛門佐が劇中で自身を鼠に例えるシーンがあるためとのことです。また、主演の堺雅人と菅野美穂が本作での共演をきっかけに結婚したことも話題となり、結婚記念として再上映も行われました。

映画『大奥〜永遠〜［右衛門佐・綱吉篇］』は、男女逆転という設定の中で、権力争いや愛憎劇が繰り広げられる、見応えのある時代劇作品です。

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