隠し目付参上

隠し目付参上

『隠し目付参上』は、毎日放送と三船プロダクションが制作し、1976年4月から9月までTBS系列で毎週土曜夜10時に放送された全26話のテレビ時代劇です。

概要

本作は、老中・松平伊豆守信明の命により組織された隠し目付が、卓越した知性と独創的なからくりを武器に、世にはびこる悪を斬り倒す物語です。組織の頭領は、伊豆守の異母兄である素浪人・九十九内膳正。そして、からくり人形の三太も七人目の隠し目付として活躍します。

必殺シリーズの流れを汲む『影同心』、『影同心II』から路線を転換し、法では裁けない巨悪を奇想天外なからくりで暴き出す、正統派の集団アクション時代劇として制作されました。葵の紋が入ったマントと色違いの装束を身にまとった隠し目付たちが、華麗な立ち回りで巨悪を成敗する姿は、視聴者を魅了しました。

全26話で完結した本作ですが、その成功を受け、主要キャストと設定を一部変更した続編『江戸特捜指令』が制作されました。

立ち回り

物語終盤、隠し目付たちは黒いマントを羽織って悪人たちとの立ち回りに臨みます。悪役が「何者だ!」と問い詰めると、春楽が「隠し目付参上!」と名乗りを上げ、続いて他のメンバーが決め台詞を順番に述べていきます。

鉄五郎「金と力で世間を欺き、闇から闇への極悪非道!」
左吉「どっこい闇には闇の白州がある!」
菊次「三途の河原を引き回し」
お駒「冥土へ追放!」
春楽「地獄へ遠島、申し渡す!!」

この台詞の後、隠し目付たちは黒マントを脱ぎ捨て、それぞれの装束をあらわにし、悪人たちとの激しい格闘が繰り広げられます。メンバーが欠席の場合は、他の者が台詞を代読しました。

キャスティング

当初、松平伊豆守信明役には、必殺シリーズで元締役として人気を博した山村聡が内定していました。しかし、スポンサーの白鹿から、山村がライバル企業の日本盛のCMに出演しているという理由で待ったがかかりました。毎日放送は山村の起用を強く希望しましたが、白鹿側が譲らず、最終的に三船敏郎が二役を演じることになりました。

また、左吉役には松田優作が予定されていましたが、クランクイン直前に暴力事件を起こしたため降板となり、沖雅也が代役を務めました。

キャスト

春楽 - 江守徹：普段は「からくり先生」と呼ばれるからくり師。仕掛けの考案を担当。装束は灰色がかった緑色の着流しで、二刀流を使用。
吉岡鉄五郎 - 竜雷太：普段は子守などの副業をしている貧乏な道場主。装束は茶色の着流しで、豪快な太刀筋で敵を斬り倒す。
左吉 - 沖雅也：普段は遊び人。クールでニヒルな性格。装束は青色の着流し。峰打ちを中心に戦う。
菊次 - 大谷直子：普段は芸者。14年前に殺された絹の下絵師の娘。装束は紫色の着物。匕首を逆手で使用。
韋駄天のお駒 - 秋野暢子：普段は飛脚。内膳正から指令書を託され、春楽たちに届ける役目。装束は赤色の着物。大刀と鞘を交互に使用。
九十九内膳正 - 三船敏郎：隠し目付の頭。普段は長屋暮らしの浪人。装束は黒色の着流し。
松平伊豆守 信明 - 三船敏郎：「知恵伊豆」とは別人。内膳正を「兄者」と呼ぶ老中。
平 平八郎 - 池田まさる：定町廻り同心。お駒に言い寄る。
お春 - 千代恵：菊次の妹芸者。鍼灸師としても働く。

スタッフ

プロデューサー：青木民男（毎日放送）、小糸章淳、伊藤満（三船プロダクション）
音楽：猪俣公章
語り：横内正
制作：毎日放送、三船プロダクション

主題歌

「愛のめぐり逢い」
作詞：山口洋子
作曲：猪俣公章
編曲：小杉仁三
* 唄：愛川由美

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