集安市

集安市（しゅうあん-し）

集安市は、中華人民共和国吉林省通化市に位置する県級市です。その地理的な特徴、歴史、行政区画、文化と観光、交通について解説します。

地理

集安市は吉林省の南東部、長白山の南麓に位置します。東南は鴨緑江を隔てて北朝鮮と国境を接し、北は通化県、通化市、白山市、南西は遼寧省寛甸県、桓仁県と隣接しています。鴨緑江を挟んだ対岸は北朝鮮の満浦市です。1937年には集安鴨緑江国境鉄道大橋が建設され、交通の要衝となっています。

市域の約3分の2を森林が占め、朝鮮人参やニホンジカなど、多様な動植物が生息する自然豊かな地域です。年平均気温は6℃、年間降水量は900mm程度です。鴨緑江には、中朝共同で管理する雲峰ダムと水豊ダムの二つの大型水力発電所が建設されています。

歴史

集安市の歴史は古く、前漢時代には玄菟郡の管轄下に置かれました。3年には高句麗が都を五女山城から集安市内の国内城へ遷都し、209年には丸都山城へ遷都しました。427年に平壌へ遷都するまでの424年間、集安は高句麗の都として繁栄しました。現在も市内には、当時の遺跡が数多く残されています。

高句麗滅亡後、唐朝は哥勿州都督府を設置し、その後は渤海、遼、金、元の統治を受けました。清代には長白山が「龍脈」とされ、禁封地とされたため、集安地区への立ち入りは制限されました。清末になると次第に開発が進み、1902年（光緒28年）に輯安県が設置されました。1965年に集安県と改名され、1988年には県級市に昇格し、集安市となりました。

その豊富な歴史遺産が評価され、1994年に国家歴史文化名城に指定されています。

行政区画

集安市は、以下の行政区画を管轄しています。

4街道：団結街道、黎明街道、通勝街道、城東街道
9鎮：青石鎮、楡林鎮、花甸鎮、頭道鎮、清河鎮、台上鎮、財源鎮、大路鎮、太王鎮
1郷：麻綫郷
1民族郷：涼水朝鮮族郷

文化と観光

集安市は、高句麗の古都としての歴史と文化を伝える多くの観光スポットがあります。

国家歴史文化名城：集安
集安博物館
高句麗遺跡公園
禹山貴族墓地
五盔墳、四盔墳、三室墓、馬槽墓、山城下貴族墓地、麻線墓区、麻線一合墓、西大墓、千秋墓、下解放墓区、環紋墓、冉牟墓、臨江墓、舞踊墓、角觝墓、太王陵、長川墓群
全国重点文物保護単位

2004年には、遼寧省桓仁満族自治県の五女山城とともに、「高句麗前期の都城と古墳」としてユネスコの世界遺産に登録されました。

洞溝古墓群：高句麗王族と貴族の陵墓群で、階段ピラミッド状の将軍墳が代表的です。
丸都山城：市区北側の丸都山の上に位置し、高句麗の戦時首都として機能しました。
国内城：集安市区部に位置し、城壁の一部が良好な状態で保存されています。
広開土王碑
筏登島：鴨緑江に面した観光スポットで、北朝鮮領を間近に見ることができます。

交通

集安市は、鉄道と道路の交通網が整備されています。

鉄道
梅集線（梅河口～集安）：集安駅
集安鴨緑江国境鉄道大橋
道路
集双高速道路
本集高速道路
G303国道（集安～シリンホト市）
G331国道
G506国道

集安の調査

集安は、古くから多くの研究者によって調査が行われてきました。

1883年：酒匂景信が広開土王碑の拓本を日本に持ち帰る。
1905年秋：鳥居龍蔵が訪問。
1907年：エドゥアール・シャヴァンヌが踏査。
1913年秋：関野貞、今西龍が調査。
1984年7月：東北大学の研究者を中心とする仙台市日中友好協会吉林省訪問団が好太王碑を見学。
1984年11月：江上波夫らが訪問。

関連項目

桓都県
宮塚利雄：2012年8月21日、中朝国境を撮影中に拘束された。

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