集韻

『集韻』の概要

『集韻』は、中国宋代に編纂された韻書であり、その成立は景祐6年（1039年）に遡ります。この書は、当時の皇帝の命によって作られた勅撰の韻書で、平声4巻、上声2巻、去声2巻、入声2巻の全10巻から構成されています。『集韻』は『広韻』に基づいていますが、韻字や順序において多少の違いがあります。

成立の背景

『集韻』が編纂されるに至った背景には、すでに存在していた『広韻』の内容に関する問題があります。『広韻』は成立から約30年が経過し、多くの字形が古くなり、使用される字体も適切ではなくなっていたため、これを改訂、補充する目的がありました。また、同時期に簡略化された『礼部韻略』も作成され、こちらは景祐4年（1037年）に完成しています。

構成と内容

『集韻』は、引例によれば『広韻』に対して27331字も多く、合計53525字を収めています。この数字は、多くの異体字をも含めて数えられた結果であり、同じ字が複数の韻に属する場合も区別してカウントされています。異なる字の数は32381字とされ、古体、或体、俗体などさまざまな字体が収められています。これにより、『集韻』は異体字辞典としての役割も果たしています。また、解釈に関しては『説文解字』の内容が優先されて掲載されています。

『広韻』および『集韻』はいずれも206韻に分かれており、『広韻』が『切韻』の改訂版として位置づけられるのに対し、『集韻』は反切用字が29%しか一致せず、訓釈や韻の並びが異なるため、通常は切韻系の韻書には分類されません。

利用と現存状況

『集韻』はその後あまり広く利用されず、宋代の時点で既に稀覯本となっていました。南宋時代には三種類の刊本が現存しており、これらは出版された場所によって金州本、潭州本、明州本と呼ばれています。『広韻』を再発見した顧炎武も、残念ながら『集韻』に接することはできませんでした。後に、明州本を基にした毛扆による抄本から、新たに曹寅が編纂した楝亭五種本が出版され、この版は清代の学者たちにも利用されました。

類篇との関係

『集韻』の配列が部首順に改められた字書が『類篇』で、こちらは治平4年（1067年）に完成しています。『類篇』は45巻からなり、31319字を『説文解字』の部首に従って配列しています。同じ部首の文字の順序は、おおむね『集韻』の出現順に沿ったものとなっています。『集韻』以前の切韻系韻書と『玉篇』を総称して「篇韻」と呼びますが、『集韻』は『類篇』とともにこの「篇韻」というカテゴリーに含まれます。

参考文献

• - 张渭毅 (1999). “《集韵》研究概说”. 语言研究 37-2: 129-153. リンク （中国語）
• - 水谷誠『『集韻』系韻書の研究』白帝社、2004年。ISBN 4891746920。

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