雍闓

雍闓（ようがい）は、後漢末期から三国時代にかけて活躍した武将で、その名は『三国志』蜀志「呂凱伝」などに記録されています。益州南部の建寧郡の豪族として知られ、前漢の雍歯の末裔とされています。

劉備の死後、蜀の支配に抵抗し、太守の正昂を殺害、張裔を捕縛して反乱を起こしました。この反乱に対し、李厳は手紙を送って説得を試みましたが、雍闓は「天に二つの太陽は無く、地に二人の王はいない。今は天下が三分されており、遠方の者は誰に従えばよいか分からない」と答え、蜀への反抗の意思を示しました。

雍闓の反乱は周辺の郡にも広がり、朱褒や高定も同調しましたが、永昌郡だけはこれに加わりませんでした。雍闓は呉に服属していた交州の士燮を通じて呉に帰服を申し入れ、捕らえていた張裔を呉に送りました。呉の交州刺史であった歩騭の取り次ぎにより、雍闓は孫権から永昌太守に任命されました。しかし、雍闓は高定と共に永昌郡を襲撃しましたが、呂凱に阻まれました。これを受けて諸葛亮が李恢・馬忠に軍を率いて討伐を命じましたが、雍闓は討伐軍が到着する前に、益州太守を名乗っていた王士と共に高定の部下に殺害されました。

小説『三国志演義』では、劉備没後に南蛮王孟獲の扇動を受けて反乱を起こした益州南部3郡の太守の一人として登場します。諸葛亮の討伐軍に抵抗しますが、諸葛亮の計略によって高定の部下である鄂煥に斬殺されるという結末を迎えます。史実では、高定の部下に殺害されていますが、演義では鄂煥によって討たれるという違いがあります。

雍闓は、蜀の支配に抵抗した人物として歴史に名を残しています。彼の反乱は、当時の蜀の南蛮政策に対する不満や、地域間の複雑な情勢を反映していると言えるでしょう。また、呉への帰服を試みた行動は、当時の勢力図の中で蜀が必ずしも安定した基盤を築けていなかったことを示唆しています。彼の生涯は、三国時代の動乱を背景に、一地方豪族がどのように生き、そして散っていったのかを物語る、興味深い事例であると言えるでしょう。

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