離宮院跡

離宮院跡（りきゅういんあと）

離宮院跡は、三重県伊勢市小俣町本町に位置する、かつての伊勢神宮斎宮の離宮があった場所です。1924年（大正13年）に国の史跡として指定され、その歴史的価値が認められています。

概要

離宮院は、斎宮に仕える斎王の斎館、勅使の宿舎として使用されたほか、神宮司や諸司の官舎、駅馬院などが置かれていました。また、大神宮の御厨もこの構内に含まれていました。

当初、離宮院は山田原沼木郷高河原（現在の伊勢市宮後、月夜見宮のあたり）にありましたが、水害により延暦16年（797年）8月に現在の地（湯田郷宇羽西村、現在の伊勢市小俣町）に移転しました。天長元年（824年）には、多気の斎宮が不便であったため、一時的に離宮院が斎宮として使用されたこともありました。しかし、鎌倉時代以降、斎宮寮が廃絶されると、次第に荒廃していきました。

参宮線宮川駅の設置によって一部が破壊されましたが、当時の遺構である土居の痕跡が今も残されています。

隣接する場所には、官舎の鎮護神である官舎神社（延喜式内社）があり、同神社は離宮院跡の所有者でもあります。

824年（天長元年）から839年（承和6年）までの15年間は、斎宮がこの地に移されていました。800年頃には、斎宮は行政部門を持つ500名もの職員を抱える一大官庁街となり、大神宮司と合わせて東西900m、南北400mもの広大な規模を誇っていたと伝えられています。当時の役所群は、現在の宮川駅から外城田川にかけての小俣町中心域に広がっていました。

沿革

797年（延暦16年）：離宮院を沼木郷高河原から湯田郷宇羽西村に移転。
824年（天長元年）：離宮院を斎宮とする。
839年（承和6年）：火災により全焼、斎宮を多気に戻す。
その後数年で離宮院は再建されたものの、斎宮が再びこの地に戻ることはありませんでした。
1102年（康和4年）：放火により焼失。

参考文献

『小俣町史 通史編』（昭和63年11月3日発行、編集：小俣町史編さん委員会、発行：小俣町）
『伊勢神宮と古代王権-神宮・斎宮・天皇がおりなした六百年』(2012年3月15日発行、著者：榎村寛之、発行：筑摩書房)

関連項目

伊勢神宮
斎宮寮
近畿地方の史跡一覧

外部リンク

* 国指定文化財等データベース

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