雨宮栄一 (神学者)

雨宮栄一（あめみや えいいち）は、1927年1月7日に生まれ、2019年8月26日に亡くなった日本の牧師、神学者であり、中部学院大学の名誉教授です。

生い立ちと教育

雨宮栄一は、日本統治時代の朝鮮の京城（現在のソウル）で生まれました。1953年に日本基督教神学専門学校を卒業後、1962年から1963年にかけて西ドイツに留学し、神学を深く学びました。

牧師としての活動

帰国後、雨宮は日本基督教団の牧師として、山梨教会（旧日本基督教会）、阿佐ヶ谷東教会、東駒形教会で奉仕しました。これらの教会での牧会活動を通じて、多くの人々に信仰の言葉を伝え、人々の心の支えとなりました。また、牧師として教会運営にも携わり、教会の発展に尽力しました。

研究者としての活動

1997年からは、中部学院大学の教授として教鞭をとり、後進の育成に力を注ぎました。専門分野は、ドイツのプロテスタント教会と日本近代のキリスト教であり、この分野で数多くの研究成果を発表しました。

著書と翻訳

雨宮の著書は、ドイツ教会闘争や日本のキリスト教史に関するものが多く、特に『バルメン宣言研究 ドイツ教会闘争史序説』や『日本の告白教会の形成』は、この分野における重要な研究書として評価されています。また、『ユダヤ人虐殺とドイツの教会』では、ナチス時代のドイツにおける教会の責任問題を深く考察し、キリスト教信仰と社会正義の関係について問題を提起しました。


主な著書

『バルメン宣言研究 ドイツ教会闘争史序説』 (1975年)
『日本の告白教会の形成』 (1975年)
『ドイツ教会闘争の展開』 (1980年)
『日本キリスト教団教会論』 (1981年)
『神の言葉はとこしえに保つ バルメン宣言による説教』 (1984年)
『ユダヤ人虐殺とドイツの教会』 (1987年)
『ドイツ教会闘争の挫折』 (1991年)
『二人の平和主義者の殉教 H.シュテールとD.ボンヘッファー』 (1995年)
『主を覚え、死を忘れるな カール・バルトの死の理解』 (2002年)
『青春の賀川豊彦』 (2003年)
『貧しい人々と賀川豊彦』 (2005年)
『暗い谷間の賀川豊彦』 (2006年)
『若き植村正久』 (2007年)
『戦う植村正久』 (2008年)
『牧師植村正久』 (2009年)
『評伝高倉徳太郎』 (2010-11年)

共編著

『福音を恥とせず 聖書・信仰告白・戦責告白』 (1973年)
『教義学とは何か』 (1987年)
『罪責を担う教会の使命』 (1987年)
『日本基督教団50年史の諸問題』 (1992年)
『井上良雄研究 「世のための教会」を求めて』 (2006年)

翻訳

『マルティン・ニーメラー その戦いの生涯』 (1966年)
『ドイツ教会闘争への道 近代ドイツ教会史1815-1945年』 (1967年)
『政治・社会問題論文集 上』 (1969年)
『ボンヘッファー伝 2-3』 (1973-74年)
『祈りを豊かに』 (1976年)
『ナチへの抵抗 ドイツ教会闘争証言集』 (1978年)
『ただ証人として 東ドイツ説教集』 (1979年)
『福音主義神学概説』 (1987年)
『カール・バルト説教選集 7』 (1994年)
『カール・バルト説教選集 18』 (2000年)
『カール・バルトと反ナチ闘争 1933-1945年 ユダヤ人問題を中心に』 (2002年)
* 『カール・バルト説教選集 17』 (2003年)

雨宮栄一は、牧師として、また研究者として、日本のキリスト教界に大きな足跡を残しました。その著書や翻訳は、今も多くの人々に読み継がれ、キリスト教信仰の理解を深める上で重要な役割を果たしています。その生涯は、信仰と学問を両立させた模範として、今後も語り継がれていくでしょう。

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