雨竜沼湿原

雨竜沼湿原の概要

雨竜沼湿原（うりゅうぬましつげん）は、北海道の空知管内に位置する山岳型高層湿原で、雨竜郡雨竜町にあります。この湿原は暑寒別天売焼尻国定公園の一部であり、標高850メートルから900メートルの高地に広がっており、東西に4キロメートル、南北に2キロメートル、総面積は101.5ヘクタールにわたります。

この場所には、流動性の高い玄武岩溶岩流の上に形成された泥炭地が存在し、170以上の池塘が点在しています。ペンケペタン川が湿原を流れ、その流れや雨水の影響によって池塘の形も変わります。2005年11月にはラムサール条約に登録され、湿原保護が強化されました。

植生と生態系

雨竜沼湿原は日本でも有数の高層湿原であり、寒冷貧栄養の環境下でミズゴケやスゲ類が何千年もかけて堆積し、木々や花々の恵みをもたらしています。雪解けの春から秋にかけて、200種類以上の植物が観察可能で、特にミズバショウやエゾカンゾウ、ショウジョウバカマなどの花々が目立ちます。特に7月には、オレンジ色のエゾカンゾウが湿原を鮮やかに彩り、その美しさから「北海道の尾瀬」とも称されています。

また、湿原内では固有の種「ウリュウコウホネ」が発見され、以前はオゼコウホネと知られていた植物で、特に子房の色が赤褐色である特徴があります。短い夏の間は、多くの高山植物が咲き誇り、景色はまるで絵画のようです。

環境問題

しかし、2015年頃からエゾシカの侵入が問題視されています。これにより植物の食害が深刻化し、またセイタカアワダチソウも湿原に侵入しています。これらの問題は湿原の生態系に大きな影響を与えています。

アクセスと楽しみ方

湿原へのアクセスは便利ではなく、公共交通機関ではJR北海道の滝川駅からバスを利用し、そこからタクシーで登山口まで行く必要があります。自家用車を利用する場合、雨竜市街から登山口まで約26キロメートルで、登山口から湿原までの距離は約3.5キロメートルとなります。登山口には「雨竜沼湿原ゲートパーク」があり、入山届を提出することが必要です。また、入山者から協力金500円が求められ、ゲートパークには宿泊可能な南暑寒荘があります。

湿原内には約3.5キロメートルの木道が整備されており、散策が楽しめます。さらに、湿原の全景が一望できる湿原展望台もあり、登山道を少し登ることで広大な景色を楽しむことができます。

まとめ

雨竜沼湿原は、その自然の美しさと多様な生態系から、訪れる人々に深い感銘を与えています。訪問者は、混雑から逃れた静かな環境の中で、自然を存分に楽しむことができる貴重な場所となっています。

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