電人ザボーガー (映画)

映画『電人ザボーガー』について

『電人ザボーガー』は、2011年10月15日に公開された特撮映画です。1970年代に放送された同名テレビ番組のリブート作品であり、監督は井口昇が務めました。キャッチコピーは「あきらめるな！立ち上がれ！」。

概要

本作は、主人公・大門豊とロボット・ザボーガーが、悪の組織・Σと戦う姿を、二部構成で描いています。第一部では青年期の大門豊を古原靖久が、第二部では熟年期の大門豊を板尾創路が演じています。旧作の再現を目指しつつ、現代的な解釈も取り入れられています。

特殊造形監督の西村喜廣は、「当時のスタッフがやりたかったであろう造形」を意識し、VFXスーパーバイザーの鹿角剛司は「自身が子供の頃に感じたカッコ良さ」を再現することを目指したと語っています。監督の井口昇は、旧作のファンであり、本作を通じてオリジナル版を観ていた世代が立ち上がる気持ちになるような映画を目指したと述べています。

また、井口監督は同時期に監督した『富江 アンリミテッド』との関連性も示唆しており、両作品を「兄弟」と「姉妹」を題材とした表裏一体の作品として位置付けています。
音楽は、旧作の菊池俊輔による劇伴を福田裕彦が編曲したものが使用されています。井口監督作品としては初めて予算が1億円を超えた作品でもあります。

本作は、オリジナル版で大門豊を演じた山口暁と、漫画版の原作者であるうしおそうじに捧げられています。

企画経緯

企画の発端は、ピー・プロダクションの版権を持つキングレコードの大月俊倫が、『電人ザボーガー』の映画化を模索したことにあります。大月は、自身が携わったドラマ『古代少女ドグちゃん』の監督であった井口昇がピープロ作品のファンであることを知り、監督をオファー。井口はこれを快諾しました。

当初、大月は中年になった大門を主人公に据えることを考えていましたが、井口はオリジナル版を見返すうちに若い時代の大門も描きたいと考えるようになり、二部構成となりました。また、井口は主人公・大門豊と敵幹部ミスボーグが、それぞれ「組織に忠誠を誓っている」という共通点を見出し、2人を恋愛関係にすることで、敵対する勢力間にもドラマ性を生み出しました。

ストーリー

第1部「たたかえ！電人ザボーガー！」

双子の兄弟として生まれた大門豊は、父である大門博士が死んだ弟の遺伝子を使って作り上げたスーパーロボット・電人ザボーガーと共に、悪のサイボーグ組織・Σと戦います。Σは、権力者の遺伝子を元に巨大ロボットを作ろうと企てていました。

激闘の中で、Σの女幹部・ミスボーグと豊との間に奇妙な交流が生まれ、やがて恋に落ちていきます。しかし、豊は汚職政治家を守らなければならないという自身の「正義」に疑問を抱き始め、それは悲劇へと繋がる禁断の扉を開くことになります。

第2部「耐えろ大門！人生の海を！」

Σとの戦いの中で起こった悲劇から25年後、秘密刑事の職を辞めていた豊は、些細な失敗から失職し、糖尿病や腰痛に悩む中年男になっていました。正義の心は枯れ果てていた豊の前に、再びΣが現れます。再就職のためハローワークを訪れていた豊は、Σの新たな幹部・秋月と出会い、戦いを挑みます。しかし、そこに謎の美少女サイボーグが現れ…。

はたして美少女サイボーグの正体とは？そして、Σが完成させた巨大ロボットを、豊は倒すことができるのでしょうか？

登場キャラクター

特に説明のないキャラクターは、オリジナル版を元にしています。

主要キャラクター

本作は二部構成で、第二部は第一部から25年後を描いています。大門豊役のみ、一部と二部で異なる俳優が演じていますが、その他の主要キャラクターは同じ俳優が演じています。

大門豊：
青年期：第一部の主人公。22歳。身長180センチ、体重67.5キロ。父が開発したザボーガーを相棒に、Σと戦う熱血漢。空手の達人であり、少々マゾの気がある。ミスボーグと恋に落ちる。
熟年期：第二部の主人公。47歳。秘密警察を退職後、運転手として働いていたが、失職。糖尿病と腰痛に悩まされ、身体能力が衰えている。
老年期：第二部のラストに登場。2050年の大門。90歳。パラリンザボーガーに乗り、信念を貫く。
ザボーガー：第一部に登場する変形型バイクロボット。大門の相棒であり、兄弟のような存在。活動源のダイモニウムには秘密がある。
シグマザボーガー：第二部に登場。Σが回収・修復したザボーガー。秋月の命令しか聞かない。
ストロングザボーガー：第二部終盤に登場。大門がシグマザボーガーを奪還し、パワーアップさせた姿。ダイモニウムキャノンを装備している。
パラリンザボーガー：第二部に登場するトライク形態のザボーガー。
ミスボーグ：Σの幹部。男性への憎悪を抱いている。大門と恋に落ちる。
新田吾郎警部：警視庁の警部。大門の腕を認める一方で、彼の危うさも認識している。
ブラックホーク：ミスボーグが駆るオートバイ。ロボット形態に変形する。第二部では秋月が使用。
中野刑事：新田の部下。過去の事故で車椅子を常用している。
松江刑事：新田の部下。オリジナル版の松江健と同じ役割を担っている。
若杉議員：本作オリジナルのキャラクター。次期総理大臣と目され、Σの標的となる。
悪ノ宮博士：Σの総帥。サイボーグやロボットを製作。過去に国家に裏切られた経験から、人間を恨んでいる。
ブル・ガンダー：第一部に登場する敵ロボット。ブルドッグの顔を持つ軽トラック型サイボーグ。
ミニブル・ガンダー：第二部に登場する、ブル・ガンダーの小型版。

その他キャラクター

大門勇博士：豊の父。ザボーガーの開発者であり、ダイモニウムの発明者。
Σ団サイボーグ幹部：「アパッチドリル」「キングアフリカ」「眼帯男爵」「エレキアンデス」「バーナー8」の5人。ミスボーグと対立することが多い。
ミスラガーズ：「ラガーレッド」「ラガーブルー」「ラガーイエロー」の3人。ミスボーグをサポートするロボット。
ヨロイデス：最初に登場したロボットで、本作オリジナル。ミスボーグが操る。
アリザイラー：第一部に登場する敵ロボット。オリジナル版のリメイク。
秋月玄：第二部に登場するΣの幹部。実は意外な出生の秘密を持つ。
AKIKO（レディボーグ）：第二部に登場する美少女サイボーグ。秋月の妹。
ジャンボメカ：第二部に登場する巨大ロボット。オリジナル版にも登場したが、本作では意外な正体を持つ。

キャスト

大門豊（熟年期）：板尾創路
大門豊（青年期）：古原靖久
ミスボーグ：山崎真実
秋月玄：宮下雄也
AKIKO：佐津川愛美
新田警部：渡辺裕之
悪ノ宮博士：柄本明
大門博士：竹中直人

スタッフ

監督・脚本：井口昇
企画・原作：ピー・プロダクション
エグゼクティブプロデューサー：大月俊倫
音楽：菊池俊輔、福田裕彦
特殊造型監督・キャラクターデザイン：西村喜廣
VFXスーパーバイザー：鹿角剛司

音楽

オープニングテーマ：「戦え！電人ザボーガー」歌：高野二郎
エンディングテーマ：「おれの兄弟 電人ザボーガー」歌：高野二郎
挿入歌：「戦え！電人ザボーガー」「おれの兄弟 電人ザボーガー」歌：子門真人

受賞

ファンタスティック・フェスト2011 ファンタスティック部門 監督賞
ぴあ初日満足度ランキング 第1位
日本オタク大賞

備考

先行公開として、ロッテルダム映画祭で特別編集版が上映されました。また、公開に先立ち、TOKYO MXでオリジナル版のテレビ放送も行われました。

映像ソフトには、各種予告編や、撮影打ち上げ用予告など、レアな映像特典が収録されています。

映像ソフト化

2012年3月28日にDVDとブルーレイディスクが発売されました。

関連書籍

『宇宙船別冊 電人ザボーガー』
『別冊映画秘宝 『電人ザボーガー』&ピー・プロ特撮大図鑑』

外部リンク

電人ザボーガー - allcinema
電人ザボーガー - KINENOTE
電人ザボーガー - IMDb

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