霧峰林家宅園
霧峰林家宅園は、台湾台中市霧峰区に位置する、台湾五大豪族の一つである霧峰林家の邸宅（林家宅第）と庭園（莱園、または林家花園）から構成される広大な建築群です。この宅園は、台湾における最大規模の邸宅であり、現在も霧峰林家の末裔が居住しています。
1985年に国定古蹟に指定されたものの、1999年の921大地震によって大部分が損傷し、現在も復旧作業が進められています。林家末裔の企業である林本堂股份有限公司と財団法人阿罩霧文化基金会が施設の管理運営を行い、中央政府や台中市政府からの補助を受けながら、自力で被災した建物の修復に取り組んでいます。
林家宅第は、大陸から台湾に渡り、現在の台中市霧峰区に定住した霧峰林家初代の林石から3代目にあたる林甲寅の子孫によって建てられました。林甲寅の子のうち、林定邦の下厝系と林奠国の頂厝系それぞれの邸宅に分かれています。下厝系統は「霧峰林家宮保第園区」として一般公開されており、見学が可能です。
蓉鏡斎（ようきょうさい）：頂厝系統で最初に建てられた建築物です。当初は草屋でしたが、1887年に林文欽によって改築され、孔廟様式の半月池と山門が一体となった設計が取り入れられました。その後、私塾の教室として使用され、林家一族の子弟教育の場となりました。日本統治時代にも漢文と詩学の教育が行われていました。
景薫楼（けいくんろう）：1864年から1866年にかけて林奠国によって建てられました。その後、何度か増築が行われ、1899年に林文欽によって後楼が完成しました。1916年の南投地震で損傷しましたが、1930年に再建され、その際に日本式の意匠が取り入れられました。
頤圃（いほ）：元々は穀倉と客室だった建物を、1906年に林紀堂が遊戯場所として使い始め、菊を植えて「頤圃」と命名しました。1909年から1910年の間に2階建ての西洋建築が増築されましたが、1920年から中国伝統様式に改築され、1930年に完工しました。1945年には地下室にダンスホールが造られました。
草厝（そうせき）：1837年に林甲寅が分家した際に、茅葺きの三合院として最初に建てられた林家の建物です。林定邦、林奠国、林四吉と代々居宅として使われ、「発財厝」とも呼ばれていました。初期には林家の神明庁がここにありましたが、大部分は改築されています。921地震で大きく損傷し、2017年から伝統工法による修復工事が始まりました。
宮保第（きゅうほだい）：台湾随一の閩南式住居であり、11の開間と五進式からなる大規模な建物です。1858年に林文察がまず中落を建て、その後、子の林朝棟が第一進、第二進を完成させました。1895年には後落も完成しました。第四進は1935年に撤去されました。
大花庁（たいかちょう）：1890年に着工し、1894年に完成した、林家の宴席や観劇の場として使用された建物です。台湾では珍しい福州戯台と観客席を備えており、霧峰林家宅園の象徴的な建物となっています。
二房厝（にぼうせき）：林文明が2人の子供のために1864年から1870年に建設した三大落五進式の建築物です。日本統治時代に改築されました。
将軍府（しょうぐんふ）：1858年に宮保第と同時に建設された、屯軍や郷勇が駐屯するための拠点です。馬厩、軍隊弁公室、宿営部屋など計28部屋を備えています。
莱園は、頂厝系の林文欽が母のために建てた庭園で、通称「林家花園」と呼ばれています。現在は明台高級中学校の敷地内にあります。台湾四大名園の一つに数えられ、美しい景観が特徴です。
木綿橋：元々は木製でしたが、1921年にセメント製で再建されました。
五桂楼：楼の前に植えられた5本の桂の木は、頂厝系の五堂兄弟を象徴しています。
鉄砲碑：林献堂が建てた碑で、林文察が戴潮春の乱で平定したことを記念しています。
飛觴醉月亭：池の中洲に建てられた涼亭で、対岸の五桂楼から観劇を楽しむための場所でした。
虹橋：飛觴醉月亭にかかる橋で、1932年に現在のセメント製になりました。
櫟社名碑：1921年に櫟社設立20周年を記念して設置されたセメント碑です。
莱園一家石：初代校長の林攀龍が建立した石碑で、『萊園一家』と彫られています。
林竹山夫子頌徳碑：日本統治時代に漢学を教え続けた林竹山を称える碑です。
夕佳亭：園内の高所に位置し、夕陽を観覧するのに適した場所です。
三十六台階：夕佳亭へと続く36段の階段です。
林氏祖塋：林家頂厝系の一族の墓地です。
石頭公：初代林家の林石公を祀るために設置されました。
林允卿銅像：林文欽の像で、1945年に現在の場所に移転しました。
櫟社百週年紀念橋：櫟社百周年を記念して建てられた橋です。
林献堂博物館：林献堂のコレクションを展示する博物館で、2019年にリニューアルしました。
1999年の921大地震で、林家宅邸と莱園は大きな被害を受けました。行政院九二一震災復興推進委員会の補助のもと、台中市文化局が修復工事を進めています。
頂厝
景薫楼群：全壊、修復完了。
蓉鏡斎：80%損傷、2019年12月修復完了。
新厝：全壊。
頤圃：70%損傷、修復完了。
下厝
草厝：全壊、2019年修復完了予定。
宮保第：80%損傷、修復完了。
大花庁：全壊、修復完了。
二房厝：65%損傷、修復完了。
映画
阿罩霧風雲、阿罩霧風雲II：落子 - いずれも霧峰林家を舞台とした作品です。
ミュージックビデオ
『I'm Not Yours』 - 蔡依林（ジョリン・ツァイ）が安室奈美恵とコラボレーションした楽曲のMVは大花庁で撮影されました。
莱園：自由に見学可能です（無料）。
霧峰林家宮保第園区（下厝）：修復中ですが、一部見学可能です。個人は前日までのオンライン予約、団体は電話予約が必要です。入園料は250ニュー台湾ドルです。
頂厝：一般開放はしておらず、団体予約のみです。
都心部からバスで約30-40分です。
台中駅から50路（統聯客運）、201路（台中客運）で霧峰郵局下車徒歩5分
朝馬站、高鐵台中駅から151路（中台湾客運）で霧峰郵局下車徒歩5分
公路客運（霧峰下車徒歩5分）
全航客運 6268路（台中 - 埔里）
総達客運 6322路（台中 - 水里）
員林・彰化客運 6870路（台中 - 渓頭）
台中・員林・杉林渓客運 6871路（台中 - 杉林渓）
台中・南投客運 6899路（台中 - 埔里）
員林客運 9120路（台中 - 竹山）
莱園は霧峰林家宮保第園区から徒歩10分弱です。
霧峰林家
宮保第
四合院
台中公園
公式ウェブサイト 霧峰林家花園 林獻堂博物館園區 （繁体字中国語）
霧峰林家宮保第園區 (wufenglins) - Facebook （繁体字中国語）
霧峰林家 文化部文化資産局 国家文化資産網>古蹟 （繁体字中国語）
棟軍文創 （繁体字中国語）
霧峰林家花園－萊園 私立明台高級中学 （繁体字中国語）
霧峰林家 台中市文化資産処 （繁体字中国語）
霧峰林家(宮保地園区) 台中観光旅遊網 （日本語）)
1985年に国定古蹟に指定されたものの、1999年の921大地震によって大部分が損傷し、現在も復旧作業が進められています。林家末裔の企業である林本堂股份有限公司と財団法人阿罩霧文化基金会が施設の管理運営を行い、中央政府や台中市政府からの補助を受けながら、自力で被災した建物の修復に取り組んでいます。
林家宅第
林家宅第は、大陸から台湾に渡り、現在の台中市霧峰区に定住した霧峰林家初代の林石から3代目にあたる林甲寅の子孫によって建てられました。林甲寅の子のうち、林定邦の下厝系と林奠国の頂厝系それぞれの邸宅に分かれています。下厝系統は「霧峰林家宮保第園区」として一般公開されており、見学が可能です。
頂厝
蓉鏡斎（ようきょうさい）：頂厝系統で最初に建てられた建築物です。当初は草屋でしたが、1887年に林文欽によって改築され、孔廟様式の半月池と山門が一体となった設計が取り入れられました。その後、私塾の教室として使用され、林家一族の子弟教育の場となりました。日本統治時代にも漢文と詩学の教育が行われていました。
景薫楼（けいくんろう）：1864年から1866年にかけて林奠国によって建てられました。その後、何度か増築が行われ、1899年に林文欽によって後楼が完成しました。1916年の南投地震で損傷しましたが、1930年に再建され、その際に日本式の意匠が取り入れられました。
頤圃（いほ）：元々は穀倉と客室だった建物を、1906年に林紀堂が遊戯場所として使い始め、菊を植えて「頤圃」と命名しました。1909年から1910年の間に2階建ての西洋建築が増築されましたが、1920年から中国伝統様式に改築され、1930年に完工しました。1945年には地下室にダンスホールが造られました。
下厝
草厝（そうせき）：1837年に林甲寅が分家した際に、茅葺きの三合院として最初に建てられた林家の建物です。林定邦、林奠国、林四吉と代々居宅として使われ、「発財厝」とも呼ばれていました。初期には林家の神明庁がここにありましたが、大部分は改築されています。921地震で大きく損傷し、2017年から伝統工法による修復工事が始まりました。
宮保第（きゅうほだい）：台湾随一の閩南式住居であり、11の開間と五進式からなる大規模な建物です。1858年に林文察がまず中落を建て、その後、子の林朝棟が第一進、第二進を完成させました。1895年には後落も完成しました。第四進は1935年に撤去されました。
大花庁（たいかちょう）：1890年に着工し、1894年に完成した、林家の宴席や観劇の場として使用された建物です。台湾では珍しい福州戯台と観客席を備えており、霧峰林家宅園の象徴的な建物となっています。
二房厝（にぼうせき）：林文明が2人の子供のために1864年から1870年に建設した三大落五進式の建築物です。日本統治時代に改築されました。
将軍府（しょうぐんふ）：1858年に宮保第と同時に建設された、屯軍や郷勇が駐屯するための拠点です。馬厩、軍隊弁公室、宿営部屋など計28部屋を備えています。
莱園
莱園は、頂厝系の林文欽が母のために建てた庭園で、通称「林家花園」と呼ばれています。現在は明台高級中学校の敷地内にあります。台湾四大名園の一つに数えられ、美しい景観が特徴です。
木綿橋：元々は木製でしたが、1921年にセメント製で再建されました。
五桂楼：楼の前に植えられた5本の桂の木は、頂厝系の五堂兄弟を象徴しています。
鉄砲碑：林献堂が建てた碑で、林文察が戴潮春の乱で平定したことを記念しています。
飛觴醉月亭：池の中洲に建てられた涼亭で、対岸の五桂楼から観劇を楽しむための場所でした。
虹橋：飛觴醉月亭にかかる橋で、1932年に現在のセメント製になりました。
櫟社名碑：1921年に櫟社設立20周年を記念して設置されたセメント碑です。
莱園一家石：初代校長の林攀龍が建立した石碑で、『萊園一家』と彫られています。
林竹山夫子頌徳碑：日本統治時代に漢学を教え続けた林竹山を称える碑です。
夕佳亭：園内の高所に位置し、夕陽を観覧するのに適した場所です。
三十六台階：夕佳亭へと続く36段の階段です。
林氏祖塋：林家頂厝系の一族の墓地です。
石頭公：初代林家の林石公を祀るために設置されました。
林允卿銅像：林文欽の像で、1945年に現在の場所に移転しました。
櫟社百週年紀念橋：櫟社百周年を記念して建てられた橋です。
林献堂博物館：林献堂のコレクションを展示する博物館で、2019年にリニューアルしました。
921大地震の被災状況と現況
1999年の921大地震で、林家宅邸と莱園は大きな被害を受けました。行政院九二一震災復興推進委員会の補助のもと、台中市文化局が修復工事を進めています。
頂厝
景薫楼群：全壊、修復完了。
蓉鏡斎：80%損傷、2019年12月修復完了。
新厝：全壊。
頤圃：70%損傷、修復完了。
下厝
草厝：全壊、2019年修復完了予定。
宮保第：80%損傷、修復完了。
大花庁：全壊、修復完了。
二房厝：65%損傷、修復完了。
舞台となった作品
映画
阿罩霧風雲、阿罩霧風雲II：落子 - いずれも霧峰林家を舞台とした作品です。
ミュージックビデオ
『I'm Not Yours』 - 蔡依林（ジョリン・ツァイ）が安室奈美恵とコラボレーションした楽曲のMVは大花庁で撮影されました。
見学
莱園：自由に見学可能です（無料）。
霧峰林家宮保第園区（下厝）：修復中ですが、一部見学可能です。個人は前日までのオンライン予約、団体は電話予約が必要です。入園料は250ニュー台湾ドルです。
頂厝：一般開放はしておらず、団体予約のみです。
アクセス
都心部からバスで約30-40分です。
台中駅から50路（統聯客運）、201路（台中客運）で霧峰郵局下車徒歩5分
朝馬站、高鐵台中駅から151路（中台湾客運）で霧峰郵局下車徒歩5分
公路客運（霧峰下車徒歩5分）
全航客運 6268路（台中 - 埔里）
総達客運 6322路（台中 - 水里）
員林・彰化客運 6870路（台中 - 渓頭）
台中・員林・杉林渓客運 6871路（台中 - 杉林渓）
台中・南投客運 6899路（台中 - 埔里）
員林客運 9120路（台中 - 竹山）
莱園は霧峰林家宮保第園区から徒歩10分弱です。
関連項目
霧峰林家
宮保第
四合院
台中公園
外部リンク
公式ウェブサイト 霧峰林家花園 林獻堂博物館園區 （繁体字中国語）
霧峰林家宮保第園區 (wufenglins) - Facebook （繁体字中国語）
霧峰林家 文化部文化資産局 国家文化資産網>古蹟 （繁体字中国語）
棟軍文創 （繁体字中国語）
霧峰林家花園－萊園 私立明台高級中学 （繁体字中国語）
霧峰林家 台中市文化資産処 （繁体字中国語）
霧峰林家(宮保地園区) 台中観光旅遊網 （日本語）)
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