青女房 (妖怪)

青女房（あおにょうぼう）

青女房は、江戸時代に描かれた妖怪として知られ、特に『今昔画図続百鬼』や『百鬼夜行絵巻』にその姿が見られます。この妖怪は、平安時代の女官を模した姿を持ち、その名は女官に由来しています。平安時代の貴族社会を背景にした独特の魅力が感じられる存在です。

概要

江戸時代の画家、鳥山石燕の作品において、青女房はお歯黒をつけた女官として描かれています。この描写は、平安時代の貴族や公家の風貌を再現したもので、特に古びた御所に住む妖怪として設定されています。青女房という言葉は、特定の妖怪を指すのではなく、一般に若く経験の浅い女官や身分の低い女房を指します。この呼称は、中世の文献『源平盛衰記』や『吾妻鏡』で広く見られ、時代を超えて使われてきました。

また、青女房に類似した妖怪は、今のお歯黒をつけたり、鏡を覗いたりする場面が描かれていますが、これは青女房という単語が与えられた創作妖怪とも解釈されています。これは、江戸時代に広がった妖怪の創作文化が影響していると言われています。

画巻に見られる青女房の描写

江戸時代に制作された『百鬼夜行絵巻』には、女官姿の青女房が描かれており、扇を持った姿が特徴的です。この作品では「青女坊」という名前がつけられ、妖怪の姿に異国情緒を感じさせる面白さがあります。また、『百物語化絵絵巻』では全く同じデザインの妖怪が「下口」という名前で描かれています。この場合、青女房とは異なる観点から名付けられた様子が伺えます。

吾妻鏡にみられる青女房の妖怪

青女房は中世の文献にも見られ、その中の一つ『吾妻鏡』には、源実朝将軍の前に現れた青女の姿を持つ妖怪の記録があります。この文献において、青女の出現は不思議な現象と地震が結びつけられることが多く、時には異形の存在が自然災害を引き起こすという信仰が伺えます。

青女房のような妖怪が描かれる背景には、平安時代の貴族社会の信仰や風習が影響を与えていることが考えられます。彼女たちの存在意義は、時代を映し出す鏡であるとも言え、文化や歴史を通じて、どのように理解され、解釈されてきたのかを探ることはとても重要です。

この様に、青女房は単なる妖怪という枠を超え、歴史的な背景や信仰、当時の社会を考察するための重要な視点を提供しています。青女房を通じて、私たちは過去を見直し、相互に影響し合う文化の織り成す神秘を感じ取ることができるのです。

もう一度検索