今昔画図続百鬼

今昔画図続百鬼

『今昔画図続百鬼』は、1779年に鳥山石燕によって刊行された妖怪画集で、全3巻から構成されています。この作品は、前作『画図百鬼夜行』の続編であり、巻末には目録が掲載されており、これにより「後編」との呼称が与えられていると考えられています。

構成と特徴

本書の特徴は、各妖怪のイラストに加え、その妖怪についての解説や賞賛の文章が添えられている点です。前作では妖怪の名称と絵のみで構成されていたのに対し、続編ではそれぞれの妖怪に関する深い考察が加わり、妖怪の多様性や背景を理解する手助けとなっています。巻頭部分ではたそがれの逢魔時が描かれており、巻末には日の出が表現されています。この対比が、妖怪の動き始める夕暮れと、姿を消す朝日を象徴しています。

描かれている妖怪

この画集には、土蜘蛛や酒呑童子、般若、橋姫、長壁姫、鵺（ぬえ）など、非常に広く知られている妖怪が多く登場します。これらの妖怪は、日本の伝承や芸能において特に有名であり、それぞれに独自のストーリーや特性があります。また、陰摩羅鬼や片輪車、骨女のように、『諸国百物語』や『伽婢子』などの古い説話集からインスパイアされた妖怪も見受けられます。さらに、魍魎や覚、水虎、野衾といった妖怪は、古典的な書籍『和漢三才図会』の記事を基にしたものであり、中国の妖怪も含まれています。

面白いことに、百々目鬼や天井下、大禿などのように、その起源が確かな情報に裏打ちされていない妖怪もおり、これらは石燕自身の創造によるものと考えられています。このように、画集にはさまざまな起源を持つ妖怪が混在し、妖怪文化の広がりが感じられます。

収録作品

『今昔画図続百鬼』は、以下の三巻から成り立っています。

• - 上之巻／雨: 妖怪が雨の中でどのように振る舞うかが描かれています。
• - 中之巻／晦: 嫌なことが続いた晦日（つごもり）をテーマにした妖怪たちが登場します。
• - 下之巻／明: 日の出と共に妖怪たちが姿を消していく様子が描かれています。

このように、各巻ごとに異なるテーマが設定されており、妖怪たちの人生や環境が豊かに表現されています。

参考文献

• - 『鳥山石燕 画図百鬼夜行全画集』鳥山石燕（2005年、角川書店）
• - 『妖怪図巻』京極夏彦・多田克己（2000年、国書刊行会）

以上の情報から、『今昔画図続百鬼』がいかに妖怪の世界を深く探求しているかが理解できます。石燕の視点を通じて、妖怪たちの魅力に触れることができる貴重な作品です。

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