青渭神社

青渭神社の概要

青渭神社（あおいじんじゃ）は、東京都の旧武蔵国多摩郡に位置する神社で、延喜式神名帳には「武蔵国多磨郡 青渭神社」と記載されています。ただし、青渭神社の論社として、稲城市東長沼、調布市深大寺元町、青梅市沢井の三つの神社が存在します。これらの神社は、地域の水や大地に深い関わりを持ち、それぞれ独特の歴史と信仰を抱えています。

稲城市の青渭神社

稲城市東長沼にある青渭神社は、JR南武線の稲城長沼駅から徒歩約5分の距離に位置します。旧社格は郷社であり、祭神には青渭神、猿田彦命、天鈿女命の三柱が祀られています。この地域は、多摩川の氾濫原として知られ、長い間沼地であったことに由来して「大沼明神」や「青沼大明神」とも呼ばれていました。水に関連した神である青渭神を祀るこの神社は、土地の特色を反映しています。

青渭神社の創建年代は明らかではありませんが、伝説によれば弘仁年間（810年 - 824年）に創建されたとされています。現在の社殿は1974年に建設されたコンクリート造りですが、本殿は17世紀初期に建てられたものと考えられています。また狛犬は2対あり、1対には「文政十三龍」と刻まれた部分が存在します。境内には古くからの大木も残存しており、かつての神域の名残を感じさせます。例大祭では「青渭獅子舞」が奉納され、地域の文化を体現しています。

調布市の青渭神社

次に、調布市深大寺元町にある青渭神社についてです。ここも旧社格は郷社です。創建の時期は不詳ですが、深大寺町の総鎮守として古来より信仰を集めてきました。かつては社地に大池があり、湧き水が青波をたたえる様子から「青波天神社」とも名付けられました。この神社もまた水神としての側面を大切にしており、主祭神青渭大神は、青沼馬沼押比売神とされています。

境内には市の天然記念物に指定された巨木の大ケヤキがあり、過去には『江戸名所図会』にも紹介されている歴史的な自然の一部です。

青梅市の青渭神社

青梅市に位置する青渭神社には惣岳山の山頂に奥宮と、沢井に里宮があります。こちらも以前は郷社とされ、主祭神は大国主命です。この社は、創建時期が不明であるものの、社伝によれば崇神天皇7年に国中で疫病が流行した際、天皇が神々に祈願し、当社が土地を寄付されて祭祀が行われたとされています。具体的な社殿の歴史には、天慶年間に源経基が社殿を建立したという伝承が残されており、現在の社殿は弘化2年に再建されたものです。

この神社は、山の頂上に本社があると同時に、麓には遙拝殿が設けられており、祭典は主に里宮で行われています。与えられた神の恵みを受ける場として地域住民から信仰されています。

森林とともに風土記を描いている青渭神社はいずれも、地域に根ざした神々の存在を象徴する重要な文化的な場であり、川や水の存在感が神社の信仰にも深く影響しています。

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